好き嫌いありき 営業雑感No.22

 小生、人間関係においては好き嫌いが大きく影響し、営業としてもお客様に対する好き嫌いの感情を把握しておくことが極めて重要と考えております。海外のリーダシップ理論でも「chemistry 相性、化学反応」と表現し、相性の判断が重要視されています。孫子などの中国古典では、理念や戦略に優先される相性について説明されています。横道にそれますが、サッカー日本代表新監督の選手起用で化学反応という言葉をよく耳にしましたが、小生は相性の方が相応しいと考えています。ブログ「組織三機能」で、人事評価に絡めて、人事のプロから教えて頂いた言葉として「所詮、人事は好き嫌い。一に好き嫌い、二に好き嫌い、三、四がなくて、五に好き嫌い。」を紹介させて頂きました。些細なこともまめに報告をする方にとって、要点だけを自分の判断で適宜報告をする方との相性は悪く、これが最初の仕事のやり方の好き嫌い、性格や信条(結果重視と過程重視・成果重視と人物重視など)による二番目の好き嫌い、最後が生理的な好き嫌い、相手を評価する際にこれらの好き嫌いを区別し、評価に持ち込まないことと解説しました。

 営業とお客様の間の好き嫌いの第一は「営業スタイルの好き嫌い」と考えております。小生は、以下の二軸で出来る四象限で営業スタイルを規定しています。

縦軸 商談のきっかけの作り方 プレゼン先行型とヒアリング先行型

横軸 説明の仕方 理論武装型と感覚型

 業界知識や商品仕様、IT理論などを学習し論理的に展開するのが理論武装型、世の中のはやりや商品コンセプトなどを中心に感覚的に展開するのが感覚型です。

象限1 プレゼン先行理論武装型

象限2 ヒアリング先行理論武装型

象限3 ヒアリング先行感覚型

象限4 プレゼン先行感覚型

 先ずは、どの象限を自分が得意とするかを決めて下さい。お気づきのことと思いますが、この四象限は、お客様の商談検討姿勢のパターンとしても使えますし、商品の性質による拡販パターンとしても使えます。従って、自分の営業スタイルとお客様や商品の象限が一致すればその商談での相性はよく、異なれば相性は悪くなります。ことに対角線に位置する場合(象限1と3、象限2と4)の相性は最悪です。営業は一部の例外を除いて、お客様や商品を選べません。従って、好き嫌いは克服するしかありません。

 商品の拡販パターンが自分の営業パターンと異なる場合は、自分でセールストークやカタログなどのツールを工夫することで克服します。

 お客様の検討姿勢との相性が悪い商談の時は、時間をかけて丁寧に対応するしかありません。丁寧に対応するとは、お客様への質問を繰り返し、お客様の反応を都度確認しながら次のステップへ進むということです。尚、チームで営業を行う場合には、営業は指揮者としてお客様と相性のいい方に登場願うことになります。

 営業とお客様の第二の好き嫌いは「性格や信条」になります。以前は、お客様との面談時の話題について好き嫌いに触れないように「1に気候(天気、寒暖など)、2に時候(花見、紅葉、節句など)、3に時事、4に出身(故郷、学校など)、5に趣味、タブーは、贔屓チーム、政治、宗教、家族」と教えられましたが、今は、メールやSNSなど新しいコミュニケーション手段の登場で多少変わってきていると思います。いずれにしても、お客様に自分を売り込み、友達としてお付き合い頂くことで、この好き嫌いを克服するしかありません。この方法については、ブログ「営業の人脈の作り方」を参考にしてください。

 尚、好き嫌いの鍛え方は、以下の二つが基本と考えます。

1)判断基準を明確にする。

 好き嫌いの判断の大原則は自分との差になります。従って、ここでの判断基準とは、自分自身が様々なことの好き嫌いを鮮明にしておくことです。

2)許容範囲を拡げる。

 上記、判断基準に「ここから先は絶対ダメ」という限界ポイントを決めることから始めて、徐々に限界ポイントを拡げるという方法です。

 好き嫌いがハッキリしたとしても、他人を評価するのは、神ならざる身には、とても難しいものです。従って、普段から自分が何で他人を評価するのかを決めておくことが重要です。その項目は「仕事のやり方」「性格・信条」から自分にあったものを5~10項目決めておいて下さい。目標達成意欲・ほうれんそう・クイックレスポンス・感謝の思い・思いやりなどなど、自分で勝手に決めて下さい。次に、この項目で自分を基準に、自分より優れているか否かを評価します。実際に評価してみると、その集計結果と、普段、自分が感じている印象が、異なることがよくあります。この時は、評価項目の入替をして、再評価をして下さい。最終的に、普段の印象と評価が一致するまで、評価項目入替を繰り返します。自分が直観で判断していることを、客観的な評価項目に置き換えるだけでも、好き嫌いを鍛えることには、とても重要です。加えて、この評価軸が、上司となった時に部下を評価する際の考課表としても使えます。

 くどいですが、人間は感情の生き物ですので、好き嫌いは、必ず存在します。一方、組織や仕事は、人間の集合体ですので、様々な好き嫌いが渦巻いています。ともすると感情的な好き嫌いだけに陥りがちですが、好き嫌いを区別して、それを鍛えることは、仕事人の必須スキルと愚考しております。尚、好きの最上級状態はリスペクトだと思っています。以前からリスペクトという言葉に、うまく当て嵌る日本語が思い浮かばず苦労していますが、尊敬ほどではなく、同意・同調とも違う、師匠・先達というような感覚でしょうか?勿論、リスペクトは、年齢・性別に関係なく、小生には師匠とこちらが勝手に決めている方が、部下や後輩にも沢山おらおられます。小生を弟子と認めて頂いている師匠もおられますが、師匠の好き嫌いは、自分の好き嫌いにも大きく関係しており、自分の判断基準を決める上でも大変有り難い存在です。

以上