今回は、これまでにも、度々、触れました効果算定について、その考え方をお話しします。効果算定には、効率化によるものと経営戦略によるものの二つがあります。小生は、どちらもQCDを用いて数値化することをお勧めします。
先ずは、効率化による効果についてお話しします。効率化の場合、C(費用)とD(工数)で評価します。基本は、現状との乖離で測りますので、現状業務フローとシステム導入後の業務フローを見比べて変化点を分析することになりますが、業務毎に所要時間や工数などの現状データを事前に収集しておくことが必須であり、そのデータ精度で正確性が決まります。以下に計算式とよくある業務課題例を示します。
1)工数削減型効果 = 削減時間 × 標準労務費
・書き写しや二度手間など、業務フロー上での無駄な時間の削減
・請求消込や金額確認など、手作業業務の自動化
・様々な準備作業、段取りや後処理、各種管理など間接作業の削減
など
工数削減で一番大切なことは、データ入力などの単純作業をRPA(ロボット活用)等で置き換えて削減し、付加価値の高い業務にシフトすることが本来の目的です。その為にも担当業務の付加価値を明確にし、現状の作業時間の内訳を付加価値観点で事前に分析しておくことが重要と考えます。
2)経費削減型効果 = 削減費用(賃貸料、在庫金額、経費、販管費などの総和)
・TV会議利用による出張費削減
・紙資料電子化(ペーパーレス)によるロッカーなど備品・スペース削減
・LT(リードタイム)短縮による在庫削減
など
注*LTと在庫の関係
LTの定義はいろいろありますが、ここでは、工場において部品投入から製品が完成するまでの時間とします。LT6日の製品の場合、注文を頂いてから生産すると6日後に納品することになりますが、お客様が即納を要求される場合は、6日後までの販売数を予測して在庫を持つことになります。製造能力と販売数の関係にもよりますが、通常は製造能力5日分の在庫を持つことが多いです。従って、LTが長い商品ほど在庫を持つ必要が増え、在庫量も在庫期間も長くなります。当然、保管場所の費用や在庫費用も膨らみます。従って、LT短縮と在庫は緊密に関係しています。尚、LTは上記のような製造だけではなく、事務用品のように会社で常備しておくような商品など購買側から見た発注から入荷までの時間でも同様です。注文して明日届くのであれば、購買側も在庫を持たなくてもよくなります。これが「アスクル」の理念です。
経費削減で大切なことは、Q(品質)を最低限でも維持することです。本来、QCD理論を実践すれば経費削減を行うことで品質も上がる筈です。「安かろう、悪かろう」になっていないかを検証する必要があります。
次に経営戦略による効果についてお話しします。こちらの場合は、現状との比較というよりは、新規事業的な観点が多く、売上目標や収益目標など経営数値として目標設定されるケースが大半です。従って、効率化効果算定のような計算式は存在せず、経営目標そのものになります。
3)組織縮小型(リストラ型)
間接部門削減、部門統廃合、事業整理 など
4)機会創出型(ビジネスモデル変革型)
設備投資による生産能力向上、新規事業進出、ネット展開 など
戦略効果を狙う上で、大切なことは、事業の付加価値と方針を明確にし、経営戦略として数値化するのは難しいのですが、Q(品質)の目標設定をしておくことと考えます。
効率化、経営戦略いずれの場合でも算定された効果と投資金額との比較が、企業における予算申請の基本であり、予算申請時の目標と実施後の評価が企業における意思決定の根本になります。営業としては、お客様の経営方針を理解し付加価値の源泉を見極めて、提案する商品が、どのような効果を産むのかを理解しておくことが必須と考えます。小生がお客様の業務に、常に、着目するように話している所以でもあります。
以上