提案のQCD評価と競合戦術 営業雑感No.18

 今回は、提案内容の評価についてお話しします。以前お話した商談三要素の要件に対応するのが提案品質(Q)となり、予算に対応するのが提案価格(C)と納期(D)となります。又、商談には競合がつきものですので、競合との比較もQCDでおこなえば判り易いです。

 Q(提案品質)については、通常、機能比較の○×で評価することが多いのですが、システム導入後の業務運用イメージで比較する方が、お客様にとっては判り易い筈です。ご提案した運用イメージが、お客様のあるべき姿に近いほうが優位といえます。従って、提案書の中に、あるべき姿、現状の業務課題、運用イメージの三点セットが書ければ、Qは80点以上です。ご提案運用イメージが書けないときの提案品質は50点以下で、最低限、あるべき姿とシステム標準運用イメーシは必要です。仮に、他社が三点セットをつかんでいる場合は、かなり不利な状況です。

 RFP(Request for Proposal 提案依頼書)受領から始まった商談でも、運用イメージをつかんでから各項目に答えるほうが優位にたてます。勿論、RFPの項目には、全て答えがあることが大前提です。提案ストーリを重視する余り、RFPへの回答が提案書の中に散りばめられているケースをよく拝見しますが、その場合は、お客様のRFPに従って順序よく回答したものを別紙サマリーでつける配慮が必要です。

 C(提案価格)については、お客様予算金額を聞き出せたかどうか?で優劣が決まります。期待効果については、システム導入後の業務運用イメージと現行業務フローを比べることで大まかには算出できます。この期待効果からの投資回収計画を出せればベストです。競合上、他社提示価格を聞き出すことやお客様から指値を頂戴することも有難いことですが、期待効果をお客様と握ることのほうが、本質的には重要です。尚、予算に合わせて要件を絞る場合は、期待効果とよく見合わせて、どこを絞るかを吟味して下さい。単純に価格だけを見て金額合わせをしても、お客様に納得して頂くことは難しいです。投資と効果を見て優先順位を決めていくのが本来の姿と認識して、その時の現状に合わせて検討して下さい。

 D(納期)については、本番時期は通常決まっていますが、本番までの逆線表とお客様含めた体制を明記することが必要です。お客様と当社の役割分担、責任範囲などが明記されているほうが、評価は高くなります。但し、役割分担については、お客様の納得と当社への信頼を勝ち取ることが必須です。この納得が頂けないときに、役割分担だけが強調されると逆効果です。逆にいえば、Dを握れるようになっていると、その商談は有利といえます。

 以上にように、提案にあたっては、システム導入後の業務運用イメージを、キーマンとしっかり握ることが、遠くて近い道だとご理解下さい。

 次に、競合との競争に勝つ戦術について解説しておきます。商談における自社の位置によって、その戦術は異なります。通常、お客様が購入検討をする場合、提案ベンダーは本命、対抗、その他の三種に分かれます。この三種のどこに自社が位置するかです。商談三要素(キーマン、要件、予算)を商談開始時点で判っていると本命、どれか二つ判っていると対抗、一つ以下はその他でしょう。

 心理学では、人がものを比較する場合に、一定の評価基準をもって順位づけをするのではなく、本命を決めて、本命との開き具合で評価する構造をもっているといわれています。加えて、本命と思っていたものより、いいものに出会うと、その瞬間から本命は入れ替わることが多いようです。この理論を応用して愚考したのが、以下の戦術となります。

1)本命と判断した場合の基本戦術「最も戦い易い相手を対抗にしたてる」

 戦い易い相手とは、相手の想定提案と当社提案をQCDで比較して2要素で勝てている相手です。但し、3要素とも勝てると判断した場合は、こちらに油断があるか?評価が甘いケースが多いので、よく見直して下さい。尚、お客様に対抗として認識して頂く方法は、事前に、こちらから指定出来ればベストですが、通常は、想定対抗ベンダーを意識的に褒めておくことです。競合において、どの段階でも他社をけなすネガティブキャンペーンは逆効果になることが多いですので、褒め殺しをお奨めします。入札案件によく見られる自社仕様による開示や自社仕様でのRFP作成は、本命としてQで絶対優位を確保するための方策で、競合ポイントをCDに絞るための方策と考えて下さい。

2)対抗と判断した場合の基本戦術「本命に勝てる一要素での一点突破」

 本命と戦う場合、全面戦争は不利となるケースが殆どです。それよりもQCDのどこか一要素に徹底的に拘った方策で臨むことです。Qに拘る場合でも、○×の総合点評価ではなく、お客様要件で期待効果の一番大きそうな部分での当社提案の優位性を一つに絞ってアピールすることです。尚、提案コンペにおいて本命でない場合は、対抗の立場と考えて一点突破で臨んで下さい。

3)その他と判断した場合の基本戦術「とにかく対抗として残り、最後は一転突破」

 多くの企業の稟議決裁においては、本命と対応の二者択一で決めることが大半です、その他の位置では、先ずは、対抗として残ることを考えます。一見、競合が複数ある場合はリーグ戦のように見えますが、お客様は本命との比較で評価しています。対抗として残るまでは、本命を引合いにして他社の弱点を認識頂くのが効果的です。敢えて本命を褒める高等テクニックも有効です。以下のような競合全ベンダーの総当りマトリックス型QCD評価表を作っておくと便利です。

A社はB社にQで勝りCで劣る、C社にもQで勝りCで劣る。

B社はA社にQで劣りCで勝る、C社にQでやや勝りCで同等。

Ⅽ社はA社にQで劣りCで勝る、B社にQでやや劣りCで同等。

ここで、A社が本命で、Ⅽ社が対抗だとすると、商談初期段階では、A社とC社との比較からQを重視させてⅭ社よりやや優れる自社を対抗に残し、最終的には期待効果を含めたⅭでA社と勝負する商談展開ストーリとなります。

 いうまでも無いことですが、勝ち抜くためには提案後のフォローが全てを決めます。お客様の判断待ちは、お勧めできません。提案への評価を聞き出し、すぐに再提案を考える習慣が大切です。お客様への確認行為に営業活動の本質があると考えます。

以上

2018年10月28日 | カテゴリー : QCD, 営業 | 投稿者 : csf-ishii