長崎考 営業雑感No.15

 本日10月8日の長崎は、くんち一色です。そこで、今回は4年間住んだ長崎について考えてみました。小生も家内も長崎は所縁のない土地でした。小生は、神戸・高松・博多・東京と流れ、家内は、博多・東京と流れてきました。長崎は市ではありますが、町の集合体という印象です。くんちにしても、精霊流しにしても、基本、町単位で動かれています。これまで住んでいた都市には、住所としての町名は存在しますが、自治会などは有名無実になっていました。町内の評判や町と町の関係など、昭和以前の日本文化の底流に流れる「ムラ社会」が、町に生きており町の存在が長崎文化の核をなしていると愚考しております。又、旧町名表記に見られますように、町の範囲が非常に狭いのも特長的です。狭いだけに町社会が残ったともいえます。長崎は町社会を核とした、いい意味でも悪い意味でも、偉大な古き町と考えています。以下に小生が感じた特徴的なことを箇条書きにしてみます。

長崎事情1 東京に日帰りが非効率

 日本の中心は東京であり、特にIT分野は東京寡占状態です。従って、東京への出張も多い筈なのですが、東京日帰りスケジュールは11時~17時に限定されます。又、大阪・福岡など地方中心都市へも不便で、因みに博多から2時間で行けないところは、鹿児島新幹線が整備されてからは、長崎、宮崎に集中しています。長崎発着の交通ダイヤは都市からの出張ビジネスや観光客集客用ダイヤで出来ているように感じます。

長崎事情2 江戸以前の文化が複雑

 小生、土地の文化を知る文献として、司馬遼太郎「街道をゆく」を重用しております。文化は道によって運ばれ、それぞれの土地に根付いていくという仮説で書かれた随筆です。殆どの県は、主街道はひとつであり、本も一冊で済みますが、長崎は三冊「肥前の諸街道」「壱岐・対馬の道」「島原半島・天草の諸道」が必要になります。も古くは平家落人部落から始まり、南北朝時代の南朝派・北朝派、江戸時代の譜代・外様・幕府直轄地まで、ジグソーパズルのように敵味方の小国が入り乱れています。

長崎事情3 隠れキリシタンの存在

 余り知られていませんが、天草の乱は、死者1万8千人と大戦前では日本最大の犠牲者を出した戦です。加えて、大浦天主堂で奇跡の復活をした以降にも明治政府により1万人以上の信徒が強制移住などの大弾圧を受けており多くの獄死者も記録されています。更に、マリア崇拝や宗教騎士団など長崎に残る宗派の大半は、現カトリック教会では異端とされています。異端を承認したローマ法王も偉いのですが、それだけに長崎独特のキシタン文化があります。原爆にしても広島に比べ長崎が目立たない印象を受けますのも、宗教問題が根底にあるように邪推しております。

長崎事情4 昭和の名残が多い

・クレジットカードは使えないのにツケがきく。

・女性の社会進出への認識をぼかしている。(老若男女ともに、本音は、やっぱり男は仕事、女は家庭)

・大抵のお店が18時で閉店する。アーケードも夜はシャター通路。

・煙草屋さんや呉服屋さん、喫茶店など、街角の個人商店が沢山残っている。

・同業老舗が複数残っており絶対的地域一番店が無い。

・住宅街近くに市場や小さな商店街が点在している。

 これら昭和が残った背景として郊外型大型複合店舗に代表される資本集約型大規模集客型施設が極めて少ないことが挙げられます。

長崎事情5 祭りだらけ

 長崎三「か」という言葉があるそうです。長崎市には、坂、墓、お祭馬鹿の「か」が多いことを顕すそうですが、8月 精霊流し、10月 くんち を筆頭に、ランタン、帆船、あじさい、ペーロンなど、毎月何らかの特長的な祭りがあります。

 ほぼ毎月実施されるお祭り企画や世界遺産登録など、観光立県を目指されているにも係わらず肝心のサービスレベルが一部を除き観光都市型では無いように感じます。観光客の行動を考えると公的施設含め観光施設及び商店は、せめて20時くらいまでは開店していて欲しいものです。又、極力、現金を持ち歩きたくない顧客心理を考えればクレジット利用は必須とも考えます。観光客に気軽に声をかけたり、道案内したりと住民や店員のおもてなしには美談が多いのですが、経営システムとしては成熟していないように感じます。

長崎のビジネス

 職住一致型の地縁重視のビジネススタイルです。一般的に長所と短所は裏表の関係にあるように、長崎の仕事においては本来長所となるべき地縁が弱点になっている部分も多いと感じています。お客様との対応においても、同級生など回りの評判が強く意識されます。仕事と人間関係の両立が求められる厳しい世界が長崎にはあります。一方で、営業には、同級生など過去の付合いからの先入観があり上、お得意様への甘えも手伝って、肝心の仕事の成果についての自覚が、少し弱いように感じています。又、女性の場合、未だに女性は家庭重視という考え方が残っています。これは地縁ゆえに隣近所の評判を気にする風潮が、色濃く残っているからと推察しております。地縁のない東京などの大都市では、逆セクハラや専業主夫などもあるくらいで、女性は家庭重視という考え方は完全に風化しています。

 東京国との比較で話しますと、通勤時間に代表される個人の時間がタップリとあり、環境に応じうまく自分を演出して、自分の成長と仕事の成果を別々に追求するのが、東京国ビジネスであり、常に人と係りを持ち、個人の時間を犠牲にして自分の成長と仕事の充実を同時に行うことが、長崎型ビジネスと愚考しております。小生は、後者が、日本国の多くの地方ビジネスの姿だと考えております。

以上

2018年10月8日 | カテゴリー : 閑話休題 | 投稿者 : csf-ishii