商談構成要素 営業雑感No.11

 今回は、小生の考える商談の構成要素についてお話します。「キーマン」「予算」「要件」が基本三要素です。この三要素を把握していないと引合いは頂いていても商談は成立していませんので、ご留意下さい。

1)キーマン(性別に関係のない外来語として使っています)

 キーマンとは決定権者ですが、上位者であるとは限りません。商談によっては現場担当者が決めることもままあります。誰が決めるか?を見極めることが営業の一番重要な仕事です。加えて、商談毎のキーマンは個人名で特定することが必須です。委員会方式等で決定する場合でも本当のキーマンは一人です。キーマンが判らない場合の対策は、単純で窓口の方に「キーマンは誰ですか?」と直裁に聞くことです。もし窓口の方が、こちらを評価しておられれば教えてくれます。この質問は、窓口の方のこちらへの評価を探るリストマス試験紙的質問でもあります。いいご返事が返って来なかった場合、銀行筋やTOP交友などキーマンに繋がる方を探して、別の攻め口を見つけないと受注は難しくなります。尚、この質問に対して「キーマンは、私です」とか「私では頼りないですか」などの答えが返ってきた場合、素直に謝って下さい。以下に述べます他要素への質問に即答出来るようであればキーマンの可能性が高いです。以前は、受付で情報収集もできたのですが、今は難しいです。

 新規・他社商談より自社商談が有利に商談展開できる理由は、このキーマンとの付合いが成立しているからです。営業活動の基礎は、キーマンとのコミュニケーションを日常的且つ、深くすることだと考えています。

2)予算

 予算には金額と時期の二つの要素があります。一般的に予算というと金額面だけを見ることが多いですが、予算執行年度は必ずあり、時期がずれると予算そのものが無くなります。金額を聞き出すことは難しくてもシステム稼働予定日は必ず聞き出して下さい。予算関係で最初に把握すべきは年度を決める決算時期です。HP等で事前確認をして下さい。

3)要件

 要件については、RFP(提案依頼書)にみられるようなシステム要件の箇条書きをイメージされる方が多いのですが、商談においてはシステム化の狙い(目標)が重要です。システム導入後の業務の流れを現状の流れとの比較で見えるようにしたものがあればベストです。RFPは、そこから導き出されたものですので、お客様からのRFP提示で始まる商談は、既に競合他社がRPF作成に係わっている可能性が高く、不利と考えて下さい。システム導入後のあるべき業務の姿(具現化された目標)をお客様と一緒に作り上げることが、商談先手必勝の形です。

 上記三要素は全て事実であり、お客様が答えを持っています。この三つを正確に聞き出すことこそが商談時の営業活動であり、どこまでつかめているかを客観的に判断し、基本三要素から提案にあたって想定すべき要素を検証するのが「商談検討会」と考えます。想定すべき要素は「期待効果」「稟議申請」「組織権限」の三つで基本三要素の二つから想定出来ます。

4)期待効果(予算と要件の二つから想定)

 提案の中身の良し悪しを決めるのが期待効果です。あるべき姿と現状の姿のギャップを明確にし、期待効果を数値化し、見積金額からの投資回収予定までを提案に含むことができればベストです。この為には、要件の理解を顧客業務に照らして深めることが必要となります。

5)稟議申請(キーマンと予算の二つから想定)

 通常、予算は取られていても契約にあたっては稟議申請が必要です。お客様での稟議決裁に要する時間を考慮し、予算で決められたシステム稼働予定日から逆算して、紹介・デモ・詳細検討・見積などの提案スケジュールを組み、稟議申請に合わせた見積提示が必須です。又、こちら都合の製品納期や要員手配状況から、契約時期をお客様の想定より早めたり、システム稼働予定日の延伸をお願いすることも重要な提案要素です。

6)組織権限(キーマンと要件の二つから想定)

 組織権限には決定権限と運用権限の二つがあります。特に運用権限に係わるお客様の運用体制は提案時に判ることは自社商談以外では稀です。決定キーマンと運用キーマンが異なることも多いので、商談段階から運用キーマン押えておければ受注後が楽です。但し、運用キーマンを重視し過ぎると現状肯定型提案になることも多いので、提案段階では決定キーマンの意向を重視して目的指向型提案にしなければなりません。

 繰り返しになりますが、商談推進にあたり最も重要なのはキーマンです。キーマンとの直接交渉が難しい場合の次善策はキーマン子飼いの部下となります。最低でも、お客様内部情報を教えて頂ける方がおられることが必要です。又、要件・予算は、商談毎に大きく変わりますが、キーマンが数多くおられることは稀です。従って、商談が発生していない間にキーマンを探しキーマンとの接点を増やしておかないと、商談が始まってからキーマンを探すようでは、商談獲得はままなりません。

 余談ですが、業種によって基本三要素の重要性は多少異なります。製造業では要件・予算軸、流通業ではキーマン・要件軸、自治体ではキーマン・予算軸で判断されることが多いです。ヘルスケアは、自治体型のキーマン・予算軸を基本としますがドクターやケアマネは要件一本槍で評価される傾向が強いので、単純なPKG適用では提案が難しくなる商談も多いと愚考しております。

以上

2018年9月9日 | カテゴリー : 営業 | 投稿者 : csf-ishii