今回は小生得意分野であるIT関連商品の将来展望をお話しします。IT産業(業界)は端的に言えば半導体による技術革新によって創生された市場です。一説には、技術革新には市場創生を伴うものとそうではないものがあり、年率130%以上の生産性向上を5年間以上続ける、言い換えると3年で倍、5年で約4倍とういう売上倍々ゲームを担える技術革新は市場を創生するといわれております。加えて技術革新で創生された市場は派生する関連技術の更なる技術革新によって構造変化をもたらすという宿命を持っています。IT産業もこの宿命に従い、汎用機からクラサバ・Web、クラウド・AIと続くIT革命はIT分野での技術革新の主役交替によるものです。ITの要素技術は、制御・演算、記憶、入出力の3つに大別されます。技術革新を担う主役要素技術が順次変化してきました。先ず、制御・演算で技術革新が起こりCPUを中心とする汎用機の時代が幕を開けます。その後、制御・演算での技術革新が緩やかになると、記憶での技術革新が起こりメモリ・ディスクを中心としたクラサバ時代に入ります。クラサバは、ダウンサイジングという言葉で汎用機からPCへと中央処理装置の交替をイメージしがちですが、実態は記憶装置の技術革新により大容量記憶装置が安価に使えるようになってもたらされたものです。その後、記憶に替わり入出力が中心となっています。インターネット時代は入出力に属するネットワークが牽引して到来しました。続いてスマホやタブレットなど携帯端末が普及したことにより携帯PCの時代に入りました。メガネ型端末のようなウェアブル装置、各種センサー、音声応答など、まだまだ入出力を中心とした技術革新の時代が続きます。これにより、タイプライター登場以来100年以上、情報入力の主役に君臨してきたキーボードが脇役になると思います。IOTと呼ばれるものの本質はマンマシンインターフェースの革新であり、前時代の制御・演算や記憶の技術をブラックボックス化する動きがクラウドとビッグデータと愚考しています。又、IT技術は「集中と分散」を繰り返す特性を持っています。クラウドは分散型サーバの究極系と捉えています。この動きはアマゾンの検索エンジン、Facebookやwebで採用された分散型サーバの仮想化技術によって支えられています。制御・記憶の分野は分散型が今は主流ですが、分散技術を内蔵したスパコンにAIが結びつけば集中型の時代がくる筈です。これと呼応して、記憶はビッグデータに代表されるように集中型が今は主流ですが、個人情報保護の観点を考えますとICカードの進化系で個人別携帯型DBのようなものが登場し分散型が登場すると思われます。この際に必須となるのが「個人ID マイナンバー」です。
一方で、ITの主役が入出力に替ったことにより、ITの付加価値の主役も長らく続いてきたプロセッシングとデータベースの時代から、コンテンツとオペレーションの時代に移行しつつあると考えています。従って、IT関係の仕事も変化を余儀なくされ、コンテンツとオペレーションを具現化した運用に纏わるビジネス(サービス)が拡大していくと考えています。業界の構造変化は既に始まっています。
十年後のシステムをイメージしてみます。棚保管された様々な物(部品、備品、サプライ品、薬品など)の在庫棚卸を例にします。十年後はタブレットやバーコードリーダ付の専用端末は無くなっている可能性が高いです。担当者はVRメガネをかけて棚をみますと現物と一緒に在庫データが表示されています。検品後にヘッドセットから音声でOKを出せば終わりです。異常時は目でみた画像とデータが同時に記録されていますので対処も明確になります。尚、商品にはチップが装着され、入庫日だけでなく製造日、製造メーカなども記録されていますので、デットストックもVRメガネで直ぐに見分けがつきます。
次に個人情報のイメージです。これは各個人がチップで常に携帯することが可能になると思われます。このチップには、あらゆる個人情報(戸籍、住民票、銀行情報、クレジット情報、定期券情報、保険情報、診察券、カルテ、就労情報など)が蓄積されています。但し、実際の個々の取引データなどはチップに書き込まれるものと、チップ内蔵の通信機能を用いてクラウドに都度アクセスしてみるものの二種に分かれる筈です。通信手段はインターネットに変わり、無線系、Bluetoothなどの近距離通信、各種センサーアップローダ等などデータを効率よく通信するものが現れると思います。インターネットは光ネットワークの基でIPプロトコルによるバックボーンネットワークとして機能すると愚考しています。個人基本情報は常に本人と共にあり、何等かのシステムを使用するときはログイン時にチップとシステムが会話してデータをアップロードすることになると考えます。従って、各システムが個別管理している個人マスタはIDだけになり、住所などの情報は、都度、個人チップから最新情報を読み取ることでセキュリティ面と社会全体での個人情報に関するデータ重複が無くなります。様々なカードを複数枚持ち歩く不便やパスワード管理からも解放されます。パスワードは基本的に生体認証が標準になると思われます。このチップをどの様な形態で持ち歩くかは、生体埋め込み、携帯端末、ウェアブル装置など、技術革新とも絡み、大きな市場を形成すると愚考しています。今はポイントカードやスマホがリードしていますが何が起こるか判りません。但し、運用に向けては法改正が必須となります。
AIは、もっと深く浸透して、既に実用化されているタクシー配車やチャットロボットに加え、あらゆる分野で意思決定補助手段として機能すると思います。ネットアクセスについてもsiriのようなバーチャル秘書的な存在が個人の好みに合わせて音声や映像で答えてくれます。バーチャル秘書の実態化した存在として個人用ロボットも出現していることでしょう。業務用ロボットは様々な職種で人間に代わって動く存在になると思いますが、Aiとの組み合わせでどこまでを判断させるのかがキーになると思います。将棋やチェスのようなゲームでは学習機能によりロボット自身が判断することは可能ですが、実業務では、権限マトリックスのような形でロボットが判断出来る範囲を明確にする必要があり、その運用とこちらも法整備が大きな課題になると愚考しております。
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