この数回、営業のDXについて持論をお話ししてきました。今回は、営業DXの方向性と営業としての不変の価値について纏めます。
DXは世界規模でのデジタルコミュニケーションがインターネットによって確立したことに始まります。この革命的ともいえるデジタルコミュニケーションと、従来ITでの業務効率化を融合させた業務改革こそが、DXの狙いと愚考しております。しかしながら、商いの基本であるお客様と商品という関係は変わりませんので、企業における業務効率化もこの範囲の中で考えることになります。インターネットにおいては個人尊重の思想が流れていますので、製版一体型の直接販売に移行することが考えられます。業種という観点からは、卸業界の衰退は、より進展すると考えています。但し、令和の米騒動で話題になりました米卸のように、何らかの形で政府関与が無い限りという前提がつきます。又、米国の著名な投資家の投資先として注目されました商社も広い意味では卸です。商社は我が国特有の産業ですが、こちらは輸出入の相手国における政治と深く関与しています。従って、政治がらみの卸以外は、製造直販に変わっていくと想定しています。
営業DXの一つの方向性として無人化があります。無人化に至る最も大きな障壁は見積と考えます。つまり、お客様が自分で購入条件を入力して見積金額を入手出来るしくみが必須と考えます。WEBでの簡易見積を進展させるためには、製品仕様視点で様々なオプションを用意する価格体系から、お客様視点からの用途選択による価格体系に変えることが必要です。例えば、車の場合、現在は、車種や排気量などで選択し、オプションとしてカーナビやルーフキャリアなどを選択していますが、通勤・旅行などの用途、スキー、スキューバなどの搭載機材、同乗者人数などで見積が完成する見積システムが必要と考えます。お客様視点での価格表を整備しWEB見積を整備することが営業無人化の第一歩と考えます。
一方で、ソリューション営業という言い方をしましたが、有人対応が必要となる鍵は、お客様への使い方教育に集約されると考えています。商品の提供する価値が単純な場合は、見積含めお客様で選択することは出来ますが、様々な商品を組み合わせて使用する場合には、その組み合わせ次第で、運用方法含めて考える必要があり、その選択は容易ではありません。その組み合わせを指南する営業スタイルとなりますので、AIが進展するとはいえ無人化は難しいと考えています。但し、この営業スタイルを確立するためには、自社の商品だけではなく自社商品と関連する他社商品についても熟知する必要があります。加えて、お客様の業務についても理解する必要がありますので、新しい卸が生まれるかもしれません。それは、お客様の立場にたって、関連する商品群を纏めて販売する営業です。
営業DXは、ネット販売を主とする無人化とお客様に代わって商品を組み合わせる営業の二極化に向けて進行すると想定しています。後者の場合は、お客様からの信用が無い限り成立しませんし、前者の場合も、購入者の評判を中心とした商品の信用が必要となります。江戸時代から続くある商家の家訓にもありますように「信用第一」というのが、営業として、求める不変の価値だと考えています。
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