「お客様」と「商品」がなければ「商い」は成立しません。これまでにも本雑感でお話しをしてきましたように「お客様」と「商品」が企業存続の根本にあると考えています。DXにおいても、その視点は変わりません。今回から、これまでの振り返りも含め、改めて「お客様」と「商品」について考えてみたいと思います。
小生の経営における目標は、パワーブランドとニッチチャンピオンの確立の二点です。パワーブランドを獲得するために必須となるのが、お客様と接する社員力であり、ニッチチャンピオンを獲得するために必須となるのは、商品力であるというのが持論です。社員力、商品力のそれぞれを高める尺度としてQCDを用います。
社員力を評価するのは、いうまでもなくお客様です。とりわけお客様と接する社員のQCDを高めることが必要となります。何度も、お話をしましましたが、マクドナルドは窓口店員のお客様対応マニュアルでサイドメニューの売上増大を獲得しましたし、オリエンタルランドは、東京ディズニーのアルバイト職を学生の憧れの仕事にすることで、仕事としてのブランドを確立し、接客品質を画期的に向上させました。吉野家では、どんぶりに具を乗せる作業の競技会を開催することで、調理作業を技として認定し、店員のモチベーションと店舗の競争によるお客様獲得に拍車をかけました。様々な企業で顧客と接する社員の質を向上させる施策を充実してきておりました。
DXにおいては、顧客と業務システムが直結する方向で業務改革がなされます。その過程で、上記のような取組みが無視される場合が散見されます。多くの顧客接点DXは、先ず、お客様の購買行動を分類して行動段階ごとにAIなどを活用して効率的に成約に結びつけるしくみを構築します。お客様の代表的な購買行動分類とは「商品購入可能性あり・購入欲求あり・購入予定あり・商談中・使用客」となります。そして営業が接触するのは商談中のお客様に限定されるケースが殆どです。そして商談中以前の段階のお客様との接点をデジタル化して商談に誘導するしくみを構築します。ここで登場するのが営業支援システムSFAで採用されているパイプライン制御という理論ですが、ここに落とし穴があると考えています。つまり、顧客行動のパターン分析を行なうことにAIを活用しますので、アンケートなどのお客様から情報収集をすることから始まります。これまでの接客マニュアルなどはお客様に気持ちよく接するもので、営業サイドを変革するものでした。つまり、現状のDXは顧客接点のQCDを上げるために集める情報の方向性が逆です。お客様の思いを集約して分析し成約に誘導するのがDXで、お客様を気持ちよくさせる営業の行動を変革していたのが過去やりかたです。パイプライン制御は、商談を成約に導くには有効な理論と考えますが、DXにおいては情報を整理する方向が違っているように思います。販売行為を行なう側の分析を充実させてDXを行なうべきと愚考しております。特に、その方向性が間違っていると感じるのが、利用中のお客様からのQ&Aへの対応です。殆どの場合、よくある事例の検索からはじまり、チャットなどはAI任せで、担当者との会話にはなかなか行き着きません。次回、顧客接点DXでの持論をお話しします。
以上