DXでの我が国の壁 営業雑感NO.369

 女性初となる高市内閣が発足しました。前回お話をした自民党的なるものを完璧に引き継いだ政権となります。個人的にはいろいろな思いを持っていますが、これからの動きに着目したいと思います。

 今回はDXを進める上での我が国独特の壁があると気付きましたので、これを纏めます。きかっけは、生成AIが欧米や中国に比べて我が国で拡がらない理由について、知人と意見交換をしたことに始まります。そこで、生成AIの利用については我が国独特の課題があることがわかりました。

 一つは、日本語の問題です。生成AIを利用するには「プロンプト」と呼ばれる生成される文書や画像についての命令が必須です。文字数制限や「ですます体」などの構文指示から、作成する文書に対すして「判りやすい表現」とか「時系列に詳細に」とか具体的な纏め方の指示を記述したものがプロンプトです。プロンプトの内容次第で同じ情報源から纏めたものであっても、出来上がってくる文書や画像は大きく異なるものとなります。プロンプトはAIが判りやすいように構造化して記述することが良いとされています。ところが、日本語はこの構造化記述が苦手です。せいぜい箇条書きにするしかないのですが、多様な形容詞や副詞により単純な構文となりにくく、結果として構造化されたものとはなりません。欧米の言語はラテン語起源の言語が多い為に構造化が前提となっているような言語です。中国語も同様です。母国語が大きな壁となっています。

 二つ目は、IT利用における姿勢の違いです。これまでにも、度々、お話をしておりますが、ITは「at your own risk」が前提で成り立っています。特に、生成AIは個人ツールとして使用することが前提になっています。従って、個人責任が全面にでてきます。これまで「at your own risk」については、ユーザとベンダーの関係においてのユーザ責任についてお話しをしてきましたが、生成AIの使用においては、組織内での個人の役割が大きくクローズアップされます。個人のスキルに大きく依存することになりこのスキルを評価する仕組みを持たない企業が多いのが事実です。個人のスキルを活かしつつ、その成果を組織に普及させる新たな人事制度が必要になります。プロンプト作成だけに特化したスキルを有する方はマニアックで人付き合いが苦手で、組織になじめない方が多い傾向にあると思われます。プロンプト作成の資格でもあれば、組織対応も可能でしょうが、AI使用においては資格制度が間に合いません。つまり「at your own risk」がIT使用者としての責任と個人スキル評価という組織風土の両面で影響しています。

 我々の結論としては、生成AIの普及が遅れている原因は「構造化表現の不得意な母国語」「ベンダー任せのITユーザ姿勢」「個人の特定スキルよりもマネジメント能力を高く評価する傾向の強い人事制度」の三つと考えました。そして、この三つの壁は、DX推進でも同様に立ちはだかると考えます。セキュリティについて「Nにお任せ」というテレビCMをよく見かけるようになりましたが、明らかにベンダー任せのユーザ姿勢に便乗したものですが、ここに大きな落とし穴があります。DXにおいては、各企業の末端にまで影響するものですのでセキュリティにおいても同じです。セキュリティという特定スキルだけではなく、ネットワークやユーザ組織にも精通している必要があります。つまり、コールセンターのような汎用的なサポート組織ではなく、ユーザ常駐のような顧客密着型のサポートを要求されることになると想定しています。

DX推進には、特定の技術に精通していくスキル、且つ、そのスキルが新分野のもので、個人の興味と努力によってのみ獲得される構造を持っているということが、日本企業において最も大きな障壁になるような気がしています。まして行政組織においては、更に、大変な障壁になるのではないでしょうか?

以上

2025年10月26日 | カテゴリー : ICT | 投稿者 : csf-ishii