企業統治(ガバナンス) 営業雑感NO.365

 先週は、たまたま企業統治(ガバナンス)についてのご質問を複数のお客様からいただきました。これまでにも、お話をしてきましたので重複する部分も多いかと思いますが、改めて纏めます。

1.目的   公正性の確保

企業統治が何のために必要かといえば、それは「公正性の確保」となります。いうまでもなく法令遵守(コンプライアンス)に従って成立します。最近まで、意思決定の迅速化や権限委譲の推進なども企業統治の目的と捉えていましたが、これらは、企業統治を運用した結果として得られる効果と考えるようになりました。又、権限集中による独裁的経営者の排除についても、役員任期や決裁権限を明確にすることで制限するもので、これも運用次第と考えるに至りました。小生の至った結論としては、「法治国家という概念があるように、企業における法治制度を具現化したものが企業統治である」ということです。従って、法治国家の原点である中国「法家思想」の底流にある「公正」を目的としました。

2.手法   明文化と公開

 ISO 9001(品質)などの認証をとった企業も多いかと思いますが、その際、各種規定書の作成・規定に従って運用するための会議体・監査体制の整備につき明文化して、社内外に公開することを義務付けられたと思います。この手法は企業統治そのものです。業務対象が品質保証に特定されているだけです。一見、公開について疑問を持たれる方もおられるか?と思いますが、従業員は企業との雇用契約に基づいていますので、契約の基礎となる規定を周知することで公正性が保証されます。又、株主が企業活動を評価する際にも規定を参照することで確かなものになります。企業のステークホルダーである株主・従業員・お客様・株主・地域/社会・経営者に等しく公開することが肝要です。企業統治を行なうためには、文書の公開は必須となっています。

3.仕組み  「規程集・会議体・権限マトリックス」

3-1 規程集

企業の法律と呼べるものが規程集になります。最上位に位置する文書が、会社登記の際に必須となる定款(ていかん)です。会計基準・就業規則など業務執行に必要なものについて細かく定義されています。条文などの個々の規則が規定であり、規定を取り纏めたものが規程となります。

3-2 会議体

規程に従って組織運営を行なうために必要なことが会議体の定義です、会議体で決定される事項、議長、構成メンバー、開催頻度を定めます。企業における差上位の意思決定会議は株主総会です。それに続く会議体が取締役会となります。組織にあわせて、経営会議、部会、課会と続きます。コンプライアンス規程に則ったコンプライアンス委員会のように業務執行組織とは別の会議体も決められます。各会議体の定義とその階層を顕わしたものが会議体となります。

3-3 権限マトリックス

業務遂行をする上での意思決定につき組織階層に従い、権限範囲を決定したものが権限マトリックスです。各規程の中に記述する場合もありますが、網羅的に表形式で纏められたものが権限マトリックスです。権限マトリックスが重視されるようになったのはBCP

(Business Continuity Plan 事業継続計画)がキッカケです。事業継承を行なう上で必要なことは業務執行を行なう際に誰に任せるか?です。災害などの非常事態が発生した際は、全社員が揃うとは限りません。そこで必要となるのが権限マトリックスです。各項目の最上位の権限を持つ方に組織を率いる義務が発生させることが可能となるからです。

4.監査

 監査の仕事は、規程に従って組織運営がなされているかを監査することです。但し、経理面での会計監査が中心でした。以前は、監査役は取締役との明確な区別はありませんでしたが、現商法では監査役は取締役からは独立した役割になっています。つまり、規程に従って公正性を評価することになります。ハラスメントなどの会計以外の事象については、第三者委員会が組織されることが多いですが、監査役の仕事になる日もそう遠くないと思います。

以上