専売を考える 営業雑感NO.350

 前回、令和の米騒動に関連して、米専売制度が継続しているとのお話をしましたが、今回は、専売制度について考えてみます。

 いうまでもなく専売制度の目的は商品の安定供給にあります。従って、生活必需品や社会インフラに係わるものが専売になる場合が殆どです。因みに、資本主義と対抗する仕組みとしてマルクスらが唱えた社会主義においては、あらゆる商品が専売となります。従って、専売制度とは、資本主義国家において、資本主義の持つ自由競争を制限する為に採用される仕組みです。その手法は、生産者と消費者とつなぐ役割を持つ流通を統制することにあります。一般的には流通業者を国有か認可制として、仕入れ可能な生産者と販売可能な地域を限定して一社の流通業者に独占的に任せる手法がとられます。専売制度の課題も、いうまでもなく利益の独占になります。横道にそれますが、塩鉄専売という政策は、紀元前の漢の時代からあります。当時は塩は生存、鉄は戦争が背景になっています。日本製鉄とUSスチールの合併がようやく承認されましたが、トランプの考え方は太古から為政者の意識として代わっていないのでしょう。

 我が国の専売制度を振り返ってみます。実は、専売制は米以外も平成まで残っていました。加えて、今でも林業は林野庁による国有産業ですし、日本住宅供給公社や道路公団などの専売を行なっています。ザックリ振り返りますと、第二次大戦後、三公社五現業として日本国有鉄道・日本専売公社(塩・たばこ・樟脳)・日本電信電話公社の3つの公共企業体、郵政(日本郵政公社)・造幣(造幣局)・印刷(国立印刷局)・国有林野・アルコール専売(新エネルギー・産業技術総合開発機構)がありました。

 国鉄はJRに、日本専売公社はJTに、電電公社はNTTに、郵便局については日本郵便と株式会社に変更されました。但し、全てが自由競争となったわけではありません。塩については、1997年(平成9年)JT設立時に米と同じく備蓄と販売を行なう「財団法人塩事業センター」が設立されています。皆さんよくご存じの食塩として販売されている赤い小瓶や青の袋は、塩事業センターの商品です。酒については、工業用アルコールも含め、日本アルコール産業株式会社として2006年(平成18年)から製造業務を開始しました。

 最近、不祥事の続く日本郵便については、郵政民営化の実体を解明しようという動きもありますが株式会社ですので株主からの圧力が必須ですが、国が最大株主ですのでなかなか難しいと考えています。公社から民営化された企業は、全て法改正によって成立しており、新しく制定された法律に制限されています。加えて、公社以外でも、電力・ガス、医療、石油など、法的制限のある産業は枚挙に暇がありません。規制緩和と叫んでいますが、具体的に、どの産業のどの規制が問題となっているか?がハッキリしていません。

 小生は、専売制が必ずしも悪いと考えておりません。むしろ、社会保障の面からは充実させるべきとも愚考しております。要は、消費者の視点で産業を考えることが必須であり、生産者側の視点は消費に従うべきと考えます。但し、農業や漁業など一次産業に属する産業においては、自然に影響されることが多い為に、これらに対する保証を充実させるべきと考えています。日本の旧公社系株式会社に多いのは、消費者でも生産者でもなく組織の為に動いているところに、問題の本質があると考えています。更には、それを後押しする官僚と政治家の存在に本質的な問題があると考えています。

以上

2025年6月15日 | カテゴリー : 閑話休題 | 投稿者 : csf-ishii