組織ガバナンス 営業雑感NO.345

 フジテレビの不祥事以来、ガバナンスという言葉をよく耳にするようになりました。そこで、今回はガバナンスを具現化する方法について纏めます。

 辞書によるとガバナンス(governance)とは「統治・支配・管理」を示す言葉です。企業におけるガバナンスは「健全な企業経営を目指す、企業自身による管理体制」を指します。小生は、もう少し踏み込んで組織の私物化を自制する仕組みと考えています。その実体は、会議体の定義と権限マトリックスの公開です。会議体については、これまでにも組織論の中でも触れておりますので繰り返しになります。

 企業に機能は「意思決定」「業務執行」「人事評価」の三点にあると会社法で規定されています。この三機能それぞれに会議体と権限マトリックスを作成することが企業ガバナンスです。

 会議体の定義とは、会議体の名前・会議体での決定事項・会議体の構成員・開催頻度を決めたものです。尚、議長は委員長や組織長が担うことが規定されています。又、議事録は必須です。我が国国会や官庁には議事録の無い会議体があるようですがもってのほかです。「意思決定」については、最高の会議体が株主総会、次に取締役会と会社法で明確に規定されています。企業だけでなく組織においては会議体規定を作成することがガバナンスの第一歩となります。会社法の「意思決定」とは、役員人事・利益配分(役員報酬・株主還元・内部留保)・投資(金の使い道)分野を決めるものだけです。「業務執行」にも業務を執行する上でも、値引額決定、購入品決定、取引先決定、組織変更など、様々な意思決定が存在します。又、報・連・相に代表される情報共有を主目的とする会議体も存在します。従って、「業務執行」における会議体には、意思決定と情報共有の二種があり、取締役会を最高会議体として執行役員会、事業部会などが定義されますが、意思決定に係わる会議体と情報共有に係わる会議体は明確に分離すべきと考えます。部会や課会などでは、隔週で分けるなど同じ会議体で二つの議題を討議することも可能です。又、情報共有に関する会議体では議長は自由に決められます。持ち回りでも構いません。「人事評価」に関しては、昇級・昇格に係わる会議体が定義されていますが、ハラスメントに関する会議体も人事評価に属します。さらには、降格・懲戒免職などについての会議体も定義されています。因みに、フジテレビにおいては、ハラスメント委員会が定義されていたのにもかかわらず、当時の社長が記者会見で報告していないことを認めたことがガバナンス不全と判断された訳です。ガバナンス不全と知りながら話したのか?社長であることでガバナンスの頂点にいると思っていたのか?は判りませんが、事件への対処もさることながら、海外投資家が一番の問題としたのは、このガバナンス不全発言にあると推察しています。投資家の立場としては、投資した企業が、特定の人達だけによって運営されていることを一番嫌います。

 権限マトリックスとは、主に業務執行での意思決定において役職に応じて決定出来る範囲を決めたものです。物品購入を例にいいますと10万以下の購入は課長決済、100万以下は部長決裁、1億以上は役員決裁というように業務執行に必要な人・者・金に関する決定事項において役職別に規定したものです。権限マトリックスが明確に定義されたのは、事業継続計画(BCP business continuity planning)においてです。事業継承においては、マトリックスの中に、もしもの時の為の第二、第三の権限所有者を定義します。小生は、権限マトリックスは業務執行における意思決定の迅速化を図る権限委譲の原典になるものと捉えています。ガバナンス面では、上司の権限逸脱の有無を評価します。

 上記のように、会議体と権限マトリックスを定義することで、企業経営や組織運営において特定の人が組織を私物化することを防ぎ、健全な企業運営をおこなうしくみがガバナンスです。

以上