前回、企業の付加価値増大には、日常業務に存在している付加価値を現場の方が認識し、その増大を図ることが重要というお話をしました。そして、日常業務に潜む付加価値を見つけ出す手段として、日常業務における作業の流れを出来る限り細かく書き出すことが第一歩と位置づけました。今回は、日常業務の遂行にあたって必要とされるスキルについて考えてみます。
スキルの指標として一般的に使われるは資格です。資格取得を奨励している企業も多く、給与に反映する資格取得支援制度も人事制度としては一般的になっております。弁護士や医師など職業としての国家資格や建設関係など入札条件となっているもの、溶接など作業の基準となっているものなどを除けば、資格と業務遂行能力は必ず比例するものではありません。特に小生の属しておりますIT分野では、マイクロソフトやオラクルなど特定企業の制定する資格もあることから大変多くの資格があり、資格と業務遂行能力との関係性が希薄だと思います。一方で業務システム開発に代表される請負業務においては、SEの技術次第ですので、ある意味人に依存する商品となっております。そこで、SEのスキル評価について資格以外の物差しづくりに取り組んでおり旧通産省時代から作業標準の作成に取り組んでいました。そんな中で生まれたのが、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が纏めたiコンピテンシ ディクショナリ(iCD)です。ディクショナリと名付けられていますように、これまでのITにおける様々なスキルを標準化するという考え方ではなく、様々の業務に必要なスキルを体系的に纏めたものを提供し、利用者が自社に必要な業務にあたる項目を選んで使用するというものです。資格については、業務遂行上の補助的要素と捉えています。
小生はこの考え方を日常業務の遂行能力に当てはめるべきと考えています。つまり、付加価値を見つけ出す手段として洗い出した作業を評価軸として採用するという考え方です。付加価値の核となる作業もふくめ、その前後の作業を評価します。評価基準としてはiCDと同じくシンプルで、出来ない・補助を受けて出来る・一人で出来る・部下の指導が出来る・教えることが出来る とうような5段階程度でいいと思います。勿論、iCDにある業務と組み合わせても構いませんが、付加価値業務を遂行出来る人財を育てるという観点では、自ら定義した作業が出来ることが主眼になると考えます。尚、iCDは、現在も一般社団法人 ICD協会に引き継がれて業務ディクショナリは改版がなされています。
スキルを縦軸にメンバーを横軸におくことでスキルマップが作成出来ます。スキルマップによりチーム総合力としての評価が可能になります。つまり、企業の提供する付加価値とは、組織としての日常活動の中で産み出されるものであり、組織の中の最小単位のチームと個人が付加価値を意識して活動することで極大化していくと考えております。その原点となるのはスキルマップです。それもチームリーダ自らが付加価値とスキルを定義して作成されたものでなければならないと愚考しております。
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