付加価値と業務 営業雑感NO.340

 前回、商品とは企業の提供する付加価値を具現化したものであることをお話ししました。今回は、付加価値と日常業務の関係について纏めます。

 いうまでもなく企業の付加価値は日常の業務の積み重ねによって産み出されます。従って、小生は日常業務の中にも付加価値を定義することが重要と考えています。日常活動の中で付加価値を見つける方法については、トヨタが無駄を排除するための方法がそのまま使えると考えます。トヨタ無駄撲滅運動は、1980年代に「在庫」を「罪庫」と置き換えて在庫を無くす為の現場小集団活動を通じて行なわれました。在庫発生の最大要因を工場の生産納期が顧客の要求納期を上回る為として、無駄な作業を無くすことで徹底的な納期短縮を図り、顧客要求納期を生産納期が上回れば必然的に在庫はなくなるというものです。この考え方が「カンバン方式」という生産方式につながり「just in time」として欧米でも採用される国際的な生産方式となりました。更には、この理論の延長に「SCM  supply chain management サプライチェーンマネジメント」や「 PLM  product life-cycle management 製品ライフサイクルマネジメント」という今では製造業では常識となった理論に繋がっていると考えています。少し横道にそれましたがトヨタ無駄撲滅運動の作業手順を書きます。

1)日常業務における作業の流れを出来るだけ細かく書き出す。

2)洗い出された作業の中で製造工程として必須の作業を選ぶ。

3)選ばれた作業以外の作業を徹底的に時間短縮の観点で見直す。

4)最上策となる作業を省く為に自動化を検討する。

以上です。著名な事例では、ネジ締め工程においては、ネジを最後まで締めた際のキュッと締まった感覚を得る作業を必須作業として、その前後にあるワークのネジ穴を探す、ネジを選ぶ、ドライバーを握る、ネジをネジ穴に差し込む、ネジにドライバイーを当てる、ネジ締めを確認するという作業群の時短を行なう為に、ネジを分類して手元の棚に置く、ドライバーをつるす、などの施策が生まれます。

 製造工程の場合は作業が決まっていますので、作業の手順の洗い出しはやりやすいのですが、日常業務となるとどこから手をつけるか?悩ましいところです。ここで作業を分類するために実施いただきたいのが一つの帳票に絞って作業手順を洗い出すことです。そして、同じ帳票でも提出先や目的によって記述内容が異なる場合には、提出先と目的を限定した中で洗い出してください。当然のことですが必須作業は書類の完成になります。ここで工夫が必要となるのが改善の目的を何に置くか?です。トヨタ方式の場合は納期短縮を至上課題としていましたが、日常業務においては、Q(品質)C(価格)D(納期)のどれをとっても構いません。どれか一つに絞って前後の作業を見直します。但し、留意いただきたいのは、手順によって見直す課題を変えないことです。品質に拘るとした場合は、どの手順でも品質向上の観点で見直してください。ややもすると品質も価格も納期もと複数の課題解決を目指すことをよく見かけますが、この複数課題解決方式は必ず失敗します。以前、QCDについて解説をしたように、QCDとはどれか一つの課題に拘って改善することで、残りの二つの課題が連動して改善されるという手法であることを認識ください。

 日常業務においては、様々な帳票を作成していると思いますので、全ての帳票においてこの作業をするのではなく、定常的に作成している帳票のみを対象としてください。尚、例外処理は、とりあえず無視してください。日常業務における付加価値は、定例業務の中に必ず存在しています。その付加価値の中身を理解することが第一歩と考えます。

以上