商品と付加価値 営業雑感NO.339

 前回、業績向上に向けての施策は商品に拘るべきというお話をしました。今回は、商品を考えるうえで、その基礎となるものが付加価値であるということをお話します。

 付加価値については以前にもお話をしましたが、金額的には売上から外部に支払った費用を差し引くことで簡単に求められます。しかしながら、付加価値の中身を明確に表現出来ていない企業の方が多いと思います。お客様に商品を販売していますが、その商品がお客様に提供している価値が何かを考える事が付加価値と商品の関係になります。

 世の中に初めての新商品が登場する際には、大きく二つの形があります。

 第一の形は、これまでにない全く新しい商品です。コンロ、ランプ、蒸気機関、エンジン、モータ、写真機、電信装置、飛行機、電話、ラジオ、テレビなどです。これらの商品は、新しく発見されたエネルギー源によって産み出された商品群で、最初は新しい動力として具現化されています。火をエネルギーに換えるコンロやランプが第一歩で、水と石炭を動力に換える蒸気機関、石油を使った動力としてディーデル機関やガソリンエンジンなどの動力機関の登場が第二歩です。そして、電力というエネルギーを使った様々な商品が生まれている現在が第三歩と愚考しています。これらの商品は開発者の定義した付加価値が具現化されています。火を照明や炊事に使う為に可搬性と永続性という付加価値をつけたものがコンロやランプとして具現化されました。尚、動力機関とはエネルギーを使って車を回すと付加価値をつけたものと考えています。循環型エネルギーの多くは電力として登場していますので、現在の延長といえますが、水素エンジンやSFに登場する光エンジンや波動エンジンなどが登場した後の世界は想像がつきませんが新しい一歩を築くと思います。

 第二の形は、既にある商品の発展型です。多くの商品はこの形です。これらの商品は第一の形の商品が生まれた後に出現します。自動車は馬車、掃除機は箒とちりとり、二層式洗濯機は盥と洗濯板、ドラム式洗濯機は石と洗濯棒、耕運機は鋤と鍬、万年筆は羽ペンとインクなどです。これらの商品の多くは、一つの作業を行なう際に必要な道具を一つに纏めて効率化を狙うという発想から生まれています。これらは、個々の商品の持つ付加価値を組み合わせることで、本来提供すべき付加価値に近づけるということになります。自動車の場合、馬の持つ動力という付加価値と馬車の持つ人を乗せるという付加価値を組み合わせて、本来の早く移動するという付加価値を実現したということになります。この発想の応用で、馬車を荷車に換えたものがトラック、更に、御者の持つ操作するという付加価値を運転手に置き換えていたものを、更に統合して自動運転に進化させるという具合です。尚、小生はITを第三歩の電力を活用する第二の形の最終型だと捉えています。

 商品と付加価値の大きな流れは上記のとおりです。ここで、注意して頂きたいことは、同じような商品でも企業の定義する付加価値は異なれば商品開発の方向性は異なるということです。トヨタは自らが産み出す付加価値を「快適な移動空間」と定義しましたので、新しい発想の商品が生まれてくることを期待しています。小生は、ホンダは早くからこの発想をもっており、ホンダジェットの具現化の背景となっていると考えています。

以上

2025年3月31日 | カテゴリー : 商い | 投稿者 : csf-ishii