企業とQCD 営業雑感No.2

 今回は、小生が主題としています「QCD」とQCDに基づく「企業」の定義についてお話しします。同じ言葉でも人によって微妙に定義や解釈が異なっているものです。営業は、自分の定義をシッカリと持ってお客様に説明出来るようにしておくことが必要です。辞書の定義を用いても構いませんが、一般的に多い欧米の定義には一神教であるキリスト教の教義を内包しているため、我が国同様にギリシャ・ローマ時代や中国など多神教を背景とした言葉の定義を小生は採用することにしています。

 様々な学者が企業を定義しており、漫画で有名になったドラッガーは、顧客起点の彼の思想から「不断の市場創造を行う組織」としています。小生は、紀元前の中国春秋時代に越の范蠡が唱えたものに少し解釈を加えております。

小生定義 企業

「お客様の欲するものを、必要な時に購入可能な価格で提供するしくみを持つ組織」

 この言葉は企業の定義に加え、製造業において常識化しておりますQCD管理についての要点を、そのゴールとともに見事に言い表しています。

 品質(Q)「お客様の欲するもの」

 価格(C)「お客様の購入可能な価格」

 納期(D)「お客様の必要な時」

 小生は、競合分析・提案内容など、殆どの仕事において常にQCDを意識しています。例えば、企業活動において重要な価格決定については購入可能な価格ということですから、顧客の値頃感に合わせた値付けとなります。安易な原価積上げ型ではありません。勿論、原価積上げは原価把握としては重要ですが、価格と原価と利益に関係は以下の数式で考えるようにしています。

「価格」-「利益」=「原価」(注:原価積上型「原価」+「利益」=「価格」)

以上から価格決定に必要な要素は、原価ではなく、顧客の値頃感と競合他社の価格と考えます。

但し、価格は安ければいいというものでは決してありません。QCDのバランスで価格は決まります。例えば、お客様の要求実現度合に合わせた値付けのしくみとして、本体価格とオプション価格を設定してお客様に予算に合わせて要求を調整して頂く手法です。但し、オプションはお客様が選べる項目に整理されていることが大前提です。又、我が国では関西人の値切り交渉のように、お客様が要求を変更せずに指値など価格先行で決めるケースも多いですので、値引きについては、投資的なリスクや拡販策として個別商談損益の範囲外で判断されることもあります。お客様へのご提供価格はQとCでバランスをとりながら商談毎に判断するしくみが必要と考えます。但し、企業として全ての商談を一律に判断するしくみ(値引き率のみで判断など)は百害あって一利なしと考えます。個別商談をお客様との関係性、モデルユーザ化など丹念に分析することが上記定義に適う企業のやり方と思います。

又、往々にして「安かろう、悪かろう」という言葉に代表されるように品質と価格は、反比例するように考えておられる方が多いですが、これは誤りです。例えば、一流といわれたメーカでも原価低減や組織防衛論理に拘り、品質管理を軽視してクレームを放置した結果、会社倒産を招いた事例があることは、よくご存じのとおりです。実際にはクレーム削減に費用をかけても、直接の品質向上に繋がるクラーム対応コストの減少や、その対策としての工程自動化がコスト削減につながるケースもあります。QCD管理はバランスを適正にとることで、Q・Ⅽ・Dの何かを改善すれば全てが改善されるようになっています。

その事例については、別の機会にお話しします。

 余談ですが、范蠡は「呉越同舟」「臥薪嘗胆」「傾国の美女」などの故事名言を生んだ呉越戦争で最終的に越を勝利に導いた将軍です。彼は戦争終結後、下野し商売を始めます。そして、大成功をおさめ現在の中国では、商売の神様としてあがめられています。

以上

2018年7月20日 | カテゴリー : QCD | 投稿者 : csf-ishii