トランプと米国IT産業 営業雑感NO.330

 トランプ大統領就任以降、米国IT産業の経済人が大接近している話で盛り上がっていますが、その背景にあるのは、以前にもお話をしましたが。中国との市場覇権争いです。ITの世界は国境の無いディファクト争いであり、結果的にNO1企業だけが生き残ります。ITの核となるソフトウェアであるOS(オペレーションシステム),ミドルウェア(データベースマネージャ、開発言語、コミュニケーションシステム(メール、チャット、掲示版など)の殆どは米国企業がディファクトを獲得しています。一方、ハードウェアにおいては、半導体、PC、スマートデバイスなどで激しい争いが続いています。特に、パソコンにおいては、IBMがレノボに事業譲渡をしてからは中国が一歩リードしています。台湾は半導体製造装置の開発においてはリードしていますが、肝心の半導体設計技術においては、やはり米国が一歩リードしています。通信機器については、伝統的に欧州企業が強いのですが、こちらも中国が台頭してきました。我が国も90年代までは、それぞれの分野で世界ディファクト争いに参加する資格はあったのですが、パソコンでIBM/MS連合にディファクトを奪われて以降は、それまでの主役であった、富士通・日立・NECなどの主要コンピュータメーカがSE職を中心に据えて、ハードウェア開発やOS開発、ミドルウェア開発から撤退していった為に、早々とのこのディファクト争いからは降りています。従って、IT分野の中核部分で我が国が世界をリードすることはありません。ゲームの世界とAIと自動車などの組み込みプログラムなどのアプリケーション分野でNO1がとれるかもしれません。

 このように、米国IT企業の多くが政治との結びつきを強めて世界を席巻することは、トランプ氏の掲げる米国至上主義と一致するものです。しかしながら、世界共通のIT社会が成立するのは、基本的に世界平和がまがりなりにも成立しているからです。独裁的支配を行う国家元首が増えて、民主主義国と対立するような構造が出来上がると、現在のITのしくみは、民主主義国だけで通用することになる可能性も充分にあります。仮に中国やロシヤが自国に入ってくる国際通信網のケーブルを遮断して、自国内だけの情報ネットワークに移行し、インターネット社会からの鎖国状態を作り出せば、簡単に実現できることです。

 小生は、米国第一主義とIT覇者の組み合わせは、ネットワーク社会から分断社会を実現していく可能性もあり危惧しています。自由の尊さを知る世界の人達の連携で、このような事態に陥らないことを願うばかりです。小生はザッカーバーグ氏やマスク氏は、このあたりの個人尊重の考えを強く持っていると思っているだけに、今回の動きに疑問を抱くと共に、大きな危惧を頂いております。彼らにとっては、自由な個人の発言を保証することが善であり、ファクトチェックと言われるような言論統制は悪という考え方から、各国で提起されている法的規制と戦うという意思表示だと思っていましたが、事は単純ではないかもしれません。尚、ネット上に氾濫する嘘については、彼らはネット上で解決する方策を模索していると思っています。現状のディファクトチェックは人海戦術をかけて行うしかありませんので、彼らの経営感覚とは相容れません。想像ですが、規制に頼らずAIと何らかの統計データを公開することで、判断は個人に委ねると考えております。

以上