IT産業の今後(6)契約方式 営業雑感NO.325

 今回から大きな変革が起こるであろうIT産業の枠組みについて考えます。先ずは契約方式についてです。これまで業務システムを購入する際には、導入時一時発生費用と月額や年額の継続費用の二つの費用が発生します。導入時一時発生費用には、サーバやパソコンなどの機材購入費、システム開発費、パッケージソフトなどのソフト購入費、サーバ室建設、ネットワーク配線などの各種工事費などがあります。継続費用としては、ハード及びソフトの保守料、ソフトライセンス料、セキュリティや各種証明書の更新料などがあります。これまでのIT業界の売上構造は、導入時一時費用が8割近くを占めておりましたので、年間販売数獲得が販売目標であり、最終的には市場占有率(シェア)第一位を目指すものでした。TOPシェアを獲得した企業が、保守料値上をして業績向上を目指すことはありましたが、継続費用が業績の50%を超えることはありませんでした。

 ところが、クラウドサービスに代表されるように、インターネット登場以降の新しいIT産業においては、導入時一時費用と継続費用の割合は逆転し、継続費用が業績を支える構造となりました。クラウドサービスの場合、導入時に環境構築費などが発生しますが、その金額はシステム購入の際の30%以下です。しかしながら、クラウドサービスの開発には、相当な先行投資が必要となります。そこで、使用期間を3年などに固定して一時金を獲得する方法が採用されています。更には、これまでのITシステムでは開発規模によってその費用が変わっていましたが、必要なサーバ容量などによってシステム能力が限定されますので、使用するであろう最大規模を想定してシステム開発を行う為に、通常時は最大規模までシステムを使用しないために無駄な費用も発生していました。クラウドサービスでは、使用者数や伝票枚数などの利用者に判りやすい従量制を採用していることが多くなっています。

 ここで、留意いただきたいのが、クラウドサービスを提供する場合のクラウドセンターです。今のところ、この分野でのリーダはクラウドサービスとして最初に登場したAWS(アマゾン ウェブ サービス)です。当初は、ユーザ向けのサービスと考えられていましたが、今は、多くのクラウドサービス提供ベンダーのクラウドセンターとして利用されています。クラウドサービスベンダーとしては、AWSを利用することで、一番、厄介なセキュリティと従量制料金体系を確保する為のシステム容量確保をAWSに任せることが可能となります。ユーザ側もAWS使用と聞くだけである程度の安心感を得られるようになっております。AWSは、全ての拠点が自営ですが、これに対抗しているのがMicrosoft Azure(マイクロソフト アジュール)です。マイクロソフトは、センター運営はせずクラウド環境を提供しています。AWSに対抗すべく、従来、計算センターと呼ばれていた企業や、富士通、NEC、NTTなどの大手企業もAzureを採用してクラウドサービスを提供しています。従って、クラウドセンターはAWSとAzure採用センターの二極化すると思います。現在ハウジングと呼ばれているサーバ室環境を提供して顧客がサーバを預ける形態のビジネスは、これまでに蓄積してきた顧客システム環境を変えることが難しいことも想定されますので、この先10年程度は続くと思われます。

 上記のようにクラウドサービスについての契約形態についてお話ししてきましたが、サブスクと呼ばれている定額サービスが様々な業種で拡がっているように、PCやスマートデバイスなどのハードもリースを利用したり、クラウドサービスベンダーが提供するサービスと一体型月額費用で使用することが拡がると想定しています。

以上

2024年12月8日 | カテゴリー : ICT | 投稿者 : csf-ishii