今回は、今後の情報システムの主役となるであろうクラウドサービスについて考えます。これまでの企業情報システムは、企業活動を行う上で必要な情報を一元化して管理することを可能とする企業データベースの構築が鍵になっていたと考えます。その為に、ERP(Enterprise Resource Planning)やSCM(Supply Chain Management)という概念が生まれました。当初は、それぞれの企業が自社システムとして開発しておりましたが、やがてSAPやORCLEのようなPKG(パッケージソフト)に集約されていきました。中小企業においては、我が国特有のオフィスコンピュータ(オフコン)と各社の販売管理、人事管理などのPKGで席捲されていました。その傾向は、オフコンがクライアント・サーバ方式に変わってからもPKGベンダーによって継承されました。
TVコマーシャルでも奉行クラウドなどといわれておりますので、この延長にクラウドがあると思っておられる方が多いかもしれませんが、これらのPKGはクラウドサービスには向きません。その理由は、これらの企業データベースはそれぞれが独立しており、独立した大規模データベースを多数同時に扱うことは、今のネットワークやクラウドセンターでは能力不足だからです。当面、企業ベータベースをクラウドで扱うには、プライベートクラウドという考え方でクラウドセンターにサーバ機能だけをセンターに預ける形態で動作することになります。現在、登場している業務PKG系のクラウドサービスは、殆どがこの形態で、顧客毎にクラウド領域を個別に確保してサービス提供がなされています。
小生は、クラウドサービスの提供するものは、企業データベースではなく、業務データベースではないか?と考えています。今でも請求業務に特化したサービスや勤怠管理に特化したサービスなど、個々の業務に特化したサービスが提供されています。
最近コマーシャルをよく見かけます請求業務について、これまでの情報システムとの関連を考えます。請求書は、多くの企業で販売管理システムから出力されています。宛名印刷なども自動化されているかもしれません。これを一気に電子化するとなると、顧客マスタに送付先メールアドレスを追加し、プログラムを修正するなどシステム改修が必要となります。そこで、請求データだけを渡して、デジタル請求してくれるサービスがあれば、システム改修よりは容易にデジタル化が実施出来ることになります。つまり、企業データベースとしてデジタル請求を行うのではなく、請求業務データベースを企業データベースとは分離して構築しデジタル請求を行うということです。但し、請求に対する入金や売上の管理は従来システムで実施することになりますので、請求サービスを導入する場合を想定した運用の流れを見直す必要があります。
このように、ここしばらくは、既存システムとの関連性のある業務に特化したクラウドサービスが乱立すると考えています。従って、クラウドサービスを提供する会社は、特定の業務に特化したベンチャー企業が多く出現してくると思います。そして、トップシェアを獲った企業が業務データベースを握ることになります。そして、企業活動を支える為には個々の業務を組み合わせることになりますので、これらの業務データベースを連携させる仕組みが生まれ、企業は各種サービスを自由に組み合わせることになっていくと想定しています。つまり、これまでは、企業データベース構築を第一義とした情報システム化がなされましたが、クラウドサービスの出現で業務データベースが個々に存在し、それらを組み合わせて使用する方向に変わると考えています。
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