今回も引き続きIT業界の変化を考えます。前回、IT産業におけるメーカと顧客の関係は「at your own risk」の前提で成り立っているとお話をしましたが、今後のIT産業においては、クラウドサービスに代表されるように、情報システムを販売するビジネスは減っていきます。クラウドサービスでは、顧客側ではサーバ室が無くなり、サーバ管理などの職務からも開放されるというメリットがうたわれています。しかしながら、クラウドサービスでは、これまでパッケージソフトで見られた自社業務に合わせる為のカストマイズ開発という考え方はありません。クラウドサービスを使用するには、自社業務との整合性をとる為の各種設定があるだけです。様々な業務形態に合わせる為に複雑な設定方法と採用しているものも多いです。但し、この設定方法やシステム操作方法は、クラウド独自ルールで設定されていますので、顧客自らが新たに学ぶ必要があります。加えて、誤った設定をしたり、操作を間違えたりした際の責任は、まさに「at your own risk」となります。実は、これから登場するAIやロボットなどの新技術は全て「at your own risk」が前提となっています。更に、それらの商品を組み合わせて使うことも、それらのサービスを使う上で個人情報保護やセキュリティ対策を考慮することも「at your own risk」となります。ここで留意していただきたいことは、これらの「at your own risk」は、使う側の事情で様々な条件を考慮する必要があり顧客独自のものとなることです。
DXが叫ばれていますが、上記のように、自治体や企業、それぞれが自分に合わせたDXを「at your own risk」で採用する必要があります。ところが、我が国においては、前回お話ししましたようにメーカSEやチャネルの存在があり「お任せ」体質が残っています。従って、ユーザ側のIT要員が、これからの「at your own risk」に対応するための準備が出来ていないと思います。加えて、IT要員に対する企業側の評価が充分に出来ていません。未だにCIOが居ない組織が多いのではないでしょうか?
小生は、我が国のIT業界変革の鍵は、この顧客の「at your own risk」の確立が鍵になると考えております。ここに新しいビジネスチャンスとして、本来、顧客がやるべき「at your own risk」を肩代わりするビジネスを、メーカSEやベンダーが、自らの顧客との間で成立させる可能性があります。その為には、顧客が使えそうな様々なサービスをネットで探し出し、ベンダー情報を取得し、使いこなす為の情報を学習する必要があります。これを考えるためには顧客業務を知っていることが必須となります。これまでの仕事の流儀とは異なるかもしれませんが、顧客と一体となって現状業務を理解しDXによる業務改善を推進できればと考えています。