新資本主義の正体 営業雑感NO.314

 今回は、総裁戦でも小泉氏が唱えた企業の解雇規定の見直しで議論が起こっていますが、小泉氏の郵政民営化、安倍氏のアベノミクス、岸田氏の新資本主義と続く、政府自民党の目指す経済政策の正体は、米国型新本主義であることを、これまでにもお話をしてきました。今回はその特徴について再度振り返ってみます。これまでと重なる部分もありますが、ご容赦ください。

 小生の考える米国型資本主義の特徴は、「株主最優先」「JOB型雇用」「成果主義」「報酬第一」の4点と考えています。それぞれについて、これまでの政策と小生の考える陰の部分を整理します。

「企業は株主のもの」企業のステークホルダーとは、株主、顧客、従業員、社会の4つです。経営とは、企業活動で得た利益をこのステークホルダーにどのように分配するか?と表現してもいいと考えていました。その際の株主への利益配賦は、株主配当として実施されてきました。ところが、株主最優先とした際の株主への利益配賦とは、経営判断で左右される配当よりも、株主がわかりやすい株価を上げることを重視することになります。物言う株主とわれておりますが、彼らは、経常利益を中心とする収益性を何よりも重視します。高収益も目指す結果として株価を上げるという構造です。郵政民営化をアドバルーンとして掲げて、株主優先と株式市場の制限を撤廃したのが小泉・竹中政権でした。

「学歴による階層組織」ドラマなどに見られるキャリアを一般企業にも適用する雇用形態に変更することを、労働力流動化・JOB型報酬と耳障りのいい言葉で置き換えているだけです。勿論、これらの制度は、労働生産性を上げることにも直結していますが、労働に格差が生まれることが一番の問題です。加えて、株主規定を変更したものの労働基準法に代表される雇用制度に風穴を空けたのが、安倍政権下で実施された非正規雇用の拡大です。この結果として、労働人口における非正規雇用者が増大し、企業組織の中に、正社員とアルバイトという格差をみました。この改善策として同一労働同一賃金という制度が叫ばれていますが、労務費として計上される費用制御の鈎となる従業員数を経営判断で自由に変更出来ることを狙っており、正社員に対する制限を変更しようというのが、冒頭にいいました解雇規制の変更だと思います。

「何事も成果次第」成果主義は悪いことではありません。小生は大賛成の立場です。しかしながら、運用において短期成果重視・エコ贔屓の温床となることを見てきました。成果主義において重要なのは成果を図る物差し次第です。最大の成果を業績とする為には、成果主義を適用する幹部社員層と、成果主義を採用せず労働力の提供を行う労働者層という階層化とセットになっているように思います。

「世の中全て金次第」プロスポーツ選手の契約金額が話題となりますが、米国社会においての価値判断はお金で表現されることが一般的です。企業経営において、最もお金を儲けることは自己保有の株式を売却することで得られる創業者利益となります。経営者とは、株主から委託された存在となり、その能力も報酬で評価されるということになります。創業者の多くは財団を設立して、投資で利益を産み、寄付の形で社会貢献を行うという図式になります。投資家が多く存在することで、金融政策と株式市場は綿密に絡み合い、金が金を産む虚業構造が大きくなっています。企業経営の源泉は、商品である筈ですが、商品を中心とした実業よりもお金を源泉とする虚業のほうが大きくなったことで、資本主義の問題点が浮き彫りになっていると考えます。

 若い人達と会話をすると、米国型資本主義を支持する方も多いことが気になっています。それから先は、彼らが創っていく社会ですので、何らかの工夫が生まれることを期待しますが、既に格差が定着してしまっているのかもしれません。

以上

2024年9月22日 | カテゴリー : 閑話休題 | 投稿者 : csf-ishii