企業内ネットワーク 営業雑感NO.306

 前回は、マルチメディアとインターネットが普及していく狭間で、電話網に拘った我が国の携帯電話がガラパゴス化したことをお話しました。うがった見方をすれば、政府が電電公社の名残りを残す民営化したNTTへの保護政策を続けた結果、世界競争力を失った電信会社が我が国だけで通用する巨大企業として生き残っていると考えてもいいかと思います。これまでの政府は、規制撤廃、民営化と掛け声のように唱えていましたが、電力、航空機、家電、半導体と、多くの産業においても、大企業への保護政策の結果、肝心の企業が世界政界競争力を失い、結果として国力低下を招いているように思えます。

 話が脱線してしまいましたが、本日は、企業内ネットワークのIP網への統合について、お話をします。企業内ネットワークにも電話網とIP網が混在しています。更に、この二つのネットワークは、その商流も二つに分かれています。電話網では、NTTの影響が色濃く残っており、販売やサポートもNTTが認定していた通信業者が担っており、企業側窓口も総務部門でした。IP網は、情報システムを販売したコンピュータ系ベンダーが担っていることが多く、企業側窓口は情報システム部門となっています。企業ネットワークのIP網への統合は、企業側窓口を一本化して、この二つの商流を統合することから始めることになりますが、先ずは、それぞれのネットワークにおける課題を整理します。

 電話網で問題になるのは、ビジネスモデルの激変です。通信業者の売上を支えていたのは、PBX(構内交換機Private Branch Exchange)でした。ところが、今のPBXは、電話番号交換からIP交換へ核となる技術は変容を遂げています。加えて、IP交換をインーネット上で行うクラウドPBXも出現しました。IP交換を利用する端末は、勿論、スマホです。内線スマホの登場です。これまでの通信業者は、PBXから電話機までを販売し、工事費及び導入後の保守まで一括して販売していました。ところが、数を稼いでいた電話機に替わるスマホは、スマホ業者が販売しており、工事や保守のベースとなる技術も電話番号交換からIP交換に替っていますのでサービスビジネスも成り立たなくなり、PBXだけの販売では事業が成り立たず、撤退する業者が増えています。その結果、PBX販売市場では、NTTの寡占状態が進んでいます。但し、内線スマホといってもクラウドPBXではSIM付スマホですが、IP-PBXでは、ノンSIMスマホです。つまり、使用するスマホの種別で、選ばれるPBXが決まり、選定される業者も決まるという構造になっていますので、スマホベンダーの動きが活発になっており、従来の通信業界は消滅したといってもいいと思います。余談になりますが、ビジネスフォンもピッチもIP交換が出来ませんので、インターネットは使えず製品の終末を迎えました。

 一方、IP網での問題は、業者が入り乱れていることです。IP網が情報システムに付随した情報ネットワークとして構築されていますので、販売管理、生産管理、経理システムと複数の情報システムを導入することが一般化している現状では、それぞれの情報システム導入バンダー別にIP網はバラバラに管理されていることが多いということです。本来ならIP網の基本となるIPアドレスの管理は企業側で一元管理すべきなのですが、情報システム別にベンダー任せになっているということです。

 このように企業内ネットワークのIP網への統一については、冒頭にお話をしましたように、これまでの企業側窓口を一本化できる新しい組織が必須となりますが、今のところ、そんな組織を創ったという話は聞いておりません。次回は、新しい組織の在り方についてお話しします。

以上

2024年7月27日 | カテゴリー : ICT | 投稿者 : csf-ishii