ネット社会の政治課題 営業雑感NO.299

 我が国の税制度や保険制度などは、ネット社会に不向きなものが多いので、今回は、その点について考察します。

 我が国の税と年金、保険制度については、企業に労力を依存する点が多くなっております。渋沢栄一がお札になりましたが、背景として、彼の提唱した日本型資本主義の思想が色濃く反映されています。それは、会社と従業員は運命共同体であり、最近では、企業の社会的責任といわれておりますが、もっと単純なものとして、社員を家族と考える経営思想です。

 この思想を背景に生まれた税制度が、源泉徴収です。首相と与党の売名行為として減税額を給与明細へ明記することが話題になっておりますが、そもそも企業に税金収納を義務付けている源泉徴収制度があるから、給与明細に税金が表示されています。ネット社会においては、個人中心の産業構造に変化していきます。企業に税金収納を任せることは有効ではなくなります。源泉徴収を辞めて、確定申告に一元化することを目指すべきと考えています。増加している年金生活者も既に確定申告をしています。源泉徴収で一律に実施しています給与所得者の控除制度も含めて、大きく税制を変革するべき時期に来ているのではないでしょうか?そもそも、小泉政権以降目指してしている労働力の流動性や株主優先への変革は、米国型資本主義を目指しており、その原点にある考え方は個人尊重であり、税制度も各人に平等な確定申告制度の上で成り立っているしくみです。

 もう一つの制度が年金制度と社会保険を一体して企業に徴収を任せているしくみです。年金額や社会保険料は給与所得に応じて変化し、会社負担金もありますから社会福祉の一端を企業が担うことになりますので、日本型資本主義には合致していました。しかしながら、多くの大企業は、独自の年金と保険組合制度を自前で構築し、従業員への福利厚生制度として拡充し、国の制度とは一線を画しています。IT関連の海外から進出した在日法人でも、独自の保険組合を複数企業で組織して、大企業と同等の福利厚生を従業員に提供出来るようにしております。このように、企業が参画している為に、企業年金、検診などの医療費補助など従業員に提供されるサービスにも大きな差が出ています。少子化対策に向けた年金利用や年金資金の破綻などが議論されておりますが、一部に提案されているように、年金ではなく税制度に一本化するほうが、ネット社会には適合しやすいように思います。

 マイナンバーカードやデジタル化推進などの小手先の改革では、ネット社会には対応出来ません。税制度や社会保険制度など、国家の根幹をなすしくみを、ネット社会が存在しているということを認識した上で、新しい国家像を持って抜本的な国政改革を行うことを政治家には期待しています。ネット社会は、民主主義とは極めて相性の良い情報インフラを持っています。民主主義国家が、ネット社会との適合する動きを加速させないと、全体主義者に乗じられることになると思います。

以上

2024年6月8日 | カテゴリー : 閑話休題 | 投稿者 : csf-ishii