今回は、これまでにもお話をしましたが、ネット社会の進展で変化が顕れると考えております企業のかたちについて纏めます。
一番気にしていることは、資本主義の根本にある株主制度の変化です。今の政府は投資を推奨していますが、株式市場を核とする資本制度が劇的に変わる可能性が高いと考えています。企業にとっての資本家とは資金源であり、資金を提供していただいた株主への保証として、株主優待制度がありました。一方で、株式市場として、会社の価値である株価を上下させることにより、投機的な色合いを持たせて株主を募集しておりました。そこで、資金調達をしたい企業は、多くの投資家の集まる株式市場に上場することで、資金を調達していました。株式市場も株主の収集力と上場企業数で市場価値を競っていますので、上場基準を変更して上場企業を増やし、特定銘柄を纏めた指標を設けて株主が投資しやすくしていました。我が国でも大阪証券取引所を核とした大証は衰退し、東京証券取引所を核とした東証に軍配が上がっています。アジアでは、上海を中心とした中国が台頭していますが、まだ東証が一番を維持しています。世界ではニューヨークとロンドンがリードしています。
少し、横道にそれましたが、この資金調達の道筋にできた新しいしくみがクラウドファンディングです。これまで、企業は株式市場に上場するためには、業績や経営体制など、様々な上場基準を達成するために、最低でも数年をかけて準備をしていましたが、クラウドファンディングを利用すれば、手軽に資金調達が可能になっています。個人事業が中心となるであろうネット社会の企業においては、株式上場を目指さないと考えています。加えて、株式上場をしていない多くの中小企業も株式市場とは離れていきます。大企業においても、一部の企業が既に実施しているように、特定分野に限定した資金調達をすると思います。
株式市場には、資金調達以外に、企業の信用を保証するという機能があります。上場基準もそうですが、上場企業という名称は企業ブランドを形成するためには必須でした。上場企業=大企業=信用出来る企業という図式が出来上がっていました。従って、新しい信用事業が確立すれば、株式市場の役割は大きく変化すると考えています。
企業のしくみで、もう一つ大きく変化することがあります。それは、雇用制度です。人手集約が必要となる事業以外は、個人事業者同士の協力という形態の組織が必ず出現します。
この形態での労働では、そもそも雇用契約が発生しません。勿論、これまで企業に支えられている社会が、一気に変化するわけではありませんが、新しい企業のかたちをもつ事業者が出現し、既存企業と競争するなかで、産業によっては、順次、変化していると考えています。
以上のように、資金調達と労働力確保ということから開放された個人事業主を中心とした産業が登場することで、当然ながら、産業構造も変化していきます。ということは、これまで整備されてきた法制度や税制度も変化せざるをえないと思っています。その為には、政治と行政が変わらないといけません。これまでは、政治と行政が社会を統制していましたが、ネット社会では、新しい企業のかたちに政治と行政が追従するかもしれません。
以上