サクラダファミリアと三次元 営業雑感NO.291

 延々と工事中でしたサクラダファミリアが2026年完成との報道がありました。今回は、その背景にある3D(三次元化)技術について考えてみます。

 そもそもサクラダファミリアが完成出来なかった背景は、建築途中でガウディが死去したことで未完成だった図面類を、建設に携わっていた弟子達が追記や補筆をして完成させたのですが、スペイン戦争により、これらの図面が全て焼失したことに起因しています。残されたものはガウディによるデザイン図と建物模型だけでした。

 建築設計は、建物全体の外観デザインに重きをおいたデザイン図を決定することから始まります。次に、建物の強度に重点をおいた躯体設計が決定します。この段階で、建築模型が作成されます。その後、内装設計がなされます。ここまでが基本設計で、建設費などの見積がなされます。しかしこれで設計はおわりではなく、実際に建築する際には、上下水道・ガス・電気・情報ネットワークなどの配管図、鉄筋などのコンクリート施工図、タイル、木材などの施工図などの様々な施工図が作成され、基本設計に基づいた施工設計が為されます。尚、多くの場合、基本設計を担当する設計者と施工設計を担当する設計者は異なります。

 従って、サクラダファミリアにおいては、着工した後に基本設計が失われたのですから、本来は基本設計をやり直す必要があったのですが、既に完成している部分との整合性をとることが難しい為、工期に合わせて、基本設計を想像して都度施工図を作成する方法が採用されていました。その為、完成までの予定も見えないという状況でした。

 ところが、3D技術が進展したことで、これまでに完成していた建築物と建物模型などを3Dスキャナや画像で読み取って3Dモデルを作成することが可能になりました。この3Dモデルからデザイン図・躯体図・や内装図などの建物設計関連図面が完成し、建物設計図面を基に作成される様々な施工図も作成できましたので、通常の建物と同様に建築することが可能となり工期も確定したということです。又、3Dプリンタの登場により、複雑な構造となる装飾物や見えない部分の構造物なども簡単に作成できますので、精度の高い模型試作も工期短縮に役立っていると思います。

 3Dが設計分野で大きな効果を上げたものに自動車エンジンがあります。電気自動車の出現で陰が薄くなってしまいましたが、ガソリンエンジンで理論的なエネルギー変換率とほぼ同等の性能を出しているエンジンがあります。それは、マツダが製品化しております。そもそも有害な二酸化炭素は、エネルギー変換率が低い為に大量に発生していますので、変換率が高いと発生は少なくなりますし、触媒などの利用により排気ガスから二酸化炭素と有害物質を短時間で除去することも可能となります。実際にマツダのディーゼルエンジンでは、二酸化炭素排出ゼロも可能となりつつあります。このエンジン開発においては、当時、登場したばかりの3D-CADが採用され、全面的な三次元設計が行われました。三次元設計と従来の図面による二次元設計の一番の違いは、エンジンでいうと燃焼室とピストンの間隔誤差などを画面上の立体モデルで検証できるところにあります。加えて、それを実際に動画で動作させて検証できます。この時、あり得ない条件で動かすことも可能です。これらの検証により理論エネルギー変化率に限りなく近い性能を持ったエンジンが製作されました。

 小生は、上記二つの例に見られますように、3Dモデルによる設計が持つ最大の特徴は、設計物を仮想空間上に配置して自由に見れることと動作検証を行えることだと考えます。今後は、これにAIが加わることで、より性能が高く、安全な商品が設計されると思います。

以上