今回は、土地と文化の関係において、一番大きな影響があると考えております故郷と家について考えを纏めます。
故郷と家は、三世代同居という世帯様式が基本となって形成されるなると考えるにいたりました。皆さんの回りに三世代同居をされている方は何人おられるでしょうか?小生の回りには、数人おられるだけです。小生は18歳まで神戸で過ごしましたが、神戸でも小学生の頃は、40名クラスに10名前後いたと思います。昭和50年前後までは、都市でもかなりの世帯が三世代同居でしたし、地方においては当たり前だったように思います。ということは、三世代同居が崩れたのは、最近ということです。
都市での三世代同居世帯が減少した背景にあるのは、都市への人口集中に伴う地価高騰があると考えています。東京にもバブルの頃までは、三世代同居の可能なお屋敷も沢山あった筈ですが、今は、マンション群に変わっています。地上げ屋も暗躍して、東京に限らず大都市のお屋敷はどんどん消滅していきました。
地方においては、農業・漁業・林業などの一次産業の停滞に一番の原因があるように感じています。大企業を中心とした高度成長の時代では、一次産業から二次産業、三次産業へと産業構造が大きく変化していきました。そんな中、二次産業、三次産業へ憧れる若者と人手不足に悩む企業の思惑が合致して、都市への人口集中が加速しました。その結果として、後継者不足に悩む地方の一次産業の問題は、昭和の頃から存在していましたが、それも必然と考えられていたように思います。
三世代同居の形態では、同じ土地に最低でも50年前後は住むことになります。三世代同居世帯が多い場合は、当然のことながら、親子三代の近所付き合いも生まれますので、地縁と血縁が融合した関係が成立し、故郷が形成されていきます。江戸時代までの武士社会では領地という概念で、ある意味、故郷は強制的に形成されていました。その結果、家という概念も形成されていきました。明治以降もこの武士社会の概念が、色濃く残っていましたので、故郷と家が、日本文化を語る上で当然のこととして存在していました。ところが、第二次世界大戦以降の日本社会においては、経済中心の戦後復興を掲げた為に、この故郷と家の概念が崩れているのだと思っています。その根本原因が、三世代同居世帯の減少にあると愚考しています。
三世代同居については、老人介護や少子化問題にも深い関係を持っていますので、国民の大多数が三世代同居世帯であるという社会も目指すべき方向の一つではあると考えます。。政治の根本は、税による社会全体での利益配分だと考えます。現在の政治制度は、故郷と家の概念はあるものとして考えられています。しかしながら、現状は、その概念が通用しなくなってきているようです。その前提で、今後はどうするのか?を考えて三世代同居を促すような税制も考える時期にきていると愚考しています。故郷と家を軽視し三世代同居に配慮しない政策を決めてきた政治家の多くが、家柄を重視した世襲を温存しているところに、今の日本の現状と矛盾があるように感じています。 以上