土地所有 営業雑感NO.286

 小生は「インターネットは、時間と国境を越える世界を出現させた」と言っておりますが、新しい時代は間違いなく訪れると考えています。そこで、今回は、やがて到来する新しい世界を支える、従来とは全く異なる価値観や概念について私論を纏めます。

 最近、小生が一番気にしているのが、地縁の解消です。これまでの歴史において、最も重要な価値観が土地への拘りだと考えています。国家の概念でも領土の存在は不可欠です。歴史上の戦争の原因には、必ず、為政者の領土的野心が入っています。現在でも、ロシアのウクライナ侵攻は、プーチンの領土的野心にほかなりません。ガザへのイスラエル侵攻についても、最初は報復でしたが、今は領土的野心の本音が見えているように思います。

 我が国においても「一生懸命」と言う言葉がありますが、本来は「一所懸命」という言葉で、鎌倉時代に武士が戦う背景として所領に徹底的に拘ることを指したものです。貴族や寺社の荘園経営から始まり武士の所領、江戸時代の大名と領国というように、権力と土地は、密接に関係しています。更には、世界的にも珍しい「墾田永年私財法」が奈良時代に制定されて、新しく開墾した土地を民に与えることを宣言したことで、個人と土地の関係についても私有財産として明確にされました。

 更に、土地は農業を通じて生産に直結し、年貢として米で納められました。その為、土地の所有を明確にすることは年貢の量を決めることになりますので、検地がなされました。我が国では長らく農業を生産の中心におく「農本主義」が続きましたので、土地と土地を耕す人と年貢という関係を国家の基礎としていました。実は、最近になって知ったことなのですが、中国最初の統一王朝となった秦が強国になっていった背景として他国からの移民の大量流入があったそうです。戦国時代の征服戦争を勝ち残ったのが始皇帝という権力者の動きだけではなく、祖国の古い土地を捨てて異国の新しい土地を得る民が増えたことが国家崩壊を招いたと気付かされました。

 以上のように、国家と政治を考える際の根底には、必ず、土地所有という概念がありました。この土地と生産の関係において、人が土地に縛られて同じ地域という考え方から地縁という人間関係が生まれ、故郷が形成されていました。ところが、インターネット社会には、土地そのものがありませんので、土地を基盤とする、法律・通念・風習などがネット社会から消滅していくように感じています。小生には、土地を基盤としない新しい概念が生まれると思うのですが、どのようなものになるのかは思いつきません。

 地縁が消えていくことに関しては、インターネッとは別の要因もあります。最大の要因が気候変動や自然災害です。東北や能登の復興を見てお判りと思いますが、元には容易に戻りません。そこに住む人も変わっていきます。地縁の特長である長年の付き合いではなく、新しい付き合いとなります。地球温暖化は世界的な規模でおこりますので、新しい地縁も国家単位でおこるかもしれません。

 もう一つの要因が、資本主義の進展です。資本主義は効率を重視しますので、人口の大都市集中を招きます。我が国の地方過疎化は顕在化していますが、中国でも同様の現象が見られます。但し、資本主義先進国の米国や欧州では、地方の過疎化は進展していないようにも見えますので、もう少し研究してみます。我が国においては、間違いなく地縁の解消を進めていると思います。

 土地に係わる権力構造の変化と地縁の解消が、新世界を開く鍵になると愚考しています。。

以上

2024年3月10日 | カテゴリー : 閑話休題 | 投稿者 : csf-ishii