今回は、前回お話ししたクラウドサービス活用を前提としたICT部門の在り方について考えてみます。「NO.68 ICT組織」で定義しました小生の考えるICT組織における付加価値業務が以下のとおりです。
1)経営に資するあらゆる情報を一元管理する。
2)稼働資産の安定稼働と事業継承を担保する。
3)ICT技術を活用した業務改善、業務効率化を推進する。
4)企業の情報公開を行うICT資産、サービスを一元管理する。
注;公開内容の管理については別管理とし、公開内容に合わせて情報責任者を決める。
例)求人情報 人事、決算情報 経理、商品情報 営業 など
5)企業からの情報流失を防止するしくみを構築、維持する。
6)情報に関する外部からの攻撃に対処するしくみを構築、維持する。
7)全社員へのICT活用に関する啓蒙を行う。
8)ICTに関する最新技術動向を把握しておく。
この役割が変わる訳ではありませんが、クラウドサービスを利用する場合、これまでICT部門の主力作業分野であったICTインフラの維持に関しては、クラウドサービスに含まれるために、注力すべき作業分野が変わってきます。ICTインフラに変わり注力すべき作業分野はデータ管理になります。但し、ここで着目すべきことは、データはシステムに依存するということです。そして、前回、お話をしたセキュリティについても、システムに依存しています。つまりクラウドサービスを利用する際に、ICT知識が不要とのことで現場任せにすることも多いのですが、セキュリティ面とバックアップを中心とした事業継承についてもICT部門が関与してクラウドサービスのICTインフラを知り、運用ルールを決める必要があります。つまり、これまではプログラム開発型の情報システム構築の一環として運用を決めていたスキルを活かして、データ管理から見たクラウドサービスの運用を決めることが求められます。
上記のようにICT部門のやるべき業務は変わりませんが、技術の方向性が異なってきます。更には、ホストコンピュータ時代から引き継がれたシステム資産の維持も必要となりますが、プログラム作成からシステム構築に至るいわゆるシステム技術についても技術の変化が速いために、スキル継承が充分に行われていません。増して、インターネットがネットワークだった時代から、一気に国境と時間を超越した巨大な情報空間に様変わりしてからは、ゲーム作成・画像処理・音声処理・検索処理など様々な分野で独自のプログラム開発やシステム構築がなされております。これら分野のスキルは、これまでの情報システムの技術とは少し異質な技術です。加えて、ネットワーク技術もインターネットの登場で様変わりしています。従って、新しいこれらの技術に対応するためには学習するしかないのですが、この為の教育については、従来のような講師による講習も少なく、教材も充分とはいけません。インターネットを使用して自ら学習する新しい形で知識習得することになります。
一方で、セキュリィ分野では、運用サービスや保険なども登場しています。一見、これらのアウトソーシングサービスとクラウドサービスの組み合わせによって企業情報システムの維持運用が可能なように思えますが、データ管理はユーザ責任であり、アウトソーシングとクラウドサービスを採用したとしても企業情報システムの管理運用を行う部門は必須です。
従って、クラウド時代のICT部門とは、従来の情報システム部門からは様変わりする必要があります。インターネット以前のシステム使用についても、自社開発・パッケージ利用などシステム環境は、それぞれの企業において様々ですので、新しいICT部門に必要なスキルは企業毎に異なります。小生は、これまでの情報システム部門を縮小してアウトソーシングサービスに頼ることも、逆に、情報システム部門任せにすることも新しいICT部門を構築するには不十分だと考えています。企業情報システムにとって革命的とも思える変化に対応するクラウド時代のICT部門の確立は、各企業の実態に合わせてTOPが関与して考えるべき事項です。
以上