AIと意思決定 営業雑感NO.241

 チャットGPTの登場でAIに対する賛否両論が沸騰している感があります。賛成者は、インターネット以上の産業革命と言っており、反対者は、法整備の遅れを訴えております。確かに法整備については、ご指摘とおりですが、AI以前にインターネットによって生まれた国境と時間を超越した巨大な情報世界での法整備そのものが遅れております。SNSによる誹謗中傷、営業妨害、闇バイトなど現法制度では判断出来ない事項は枚挙に暇がありません。加えて、電子マネーに至っては、これまで国家が価値を保証してきた通貨と異なり、その価値保証をする組織は一企業に委ねられております。AIを語る前にインターネット社会に対する法整備を為すべきでしょう。

 そもそも、インターネット世界とリアル世界では、国境が無いことが一番の違いであり、課題だと捉えています。なぜなら、現状の法制度をネット社会全体に適用することが不可能だからです。実際には、本来は効率も求めて配置されるべきクラウドセンターも各国の法に準拠出来る国に設置されています。実際には、インターネット社会に構築される新しい秩序がリアルの国家を越える可能性がありますが、今はSFと見なされるでしょう。AIの進展はこの革命的な事象を出現させるキッカケにはなると思います。

 横道にそれましたが、AIと人間の一番の違いは、単純ですが、意思決定をするか?否か?です。AIは意思決定をすることはありません。確かに、AIはチェスや将棋を指します。それは、今の盤面を過去の膨大な棋譜を比較して指し手を決定する条件を開発者が設定しているからです。つまり、AIが意思決定をしているよう見えるのは、学習すべき情報があり、それを判断する条件が設定されているからです。AIが自ら決定している訳ではありません。ディープラーニングでは、この設定される条件をAI自らが発見することが可能となっていますが、最終判断をしている訳ではなく、最終判断の条件は、設定された条件です。

 簡単に纏めますと、AIには判断すべき情報とその情報を評価して判断するための条件が揃って機能する意思決定支援システムです。人間に比べて有利なのは、膨大な情報を評価出来ることです。先程の将棋AIを例にとりますと、AIは過去の全ての棋譜を覚えていますが、棋士には困難です。加えて、ネットを介してリアルタイムに他の対局情報も取得できますので、情報量の獲得では圧倒的に有利になります。但し、将棋においては、AIは棋士を凌駕していません。その理由は、棋譜を判断する条件が一つになっていないからです。一方でオセロやチェスにおいては将棋よりもその最強の条件に近づいているように思えます。 上記から、AI研究とは、膨大な情報をより効率的に総覧する技術とより簡単な最終的な条件提示により、最終条件に関連する諸々の条件を自ら造り出す技術の構築になります。

 AIが活躍出来る仕事分野は、弁護士・作家など様々に憶測されておりますが、小生は、秘書だと考えています。既に、大衆の意見集約を議員に代わってAIに任せ、その情報を基に行政を行うという新しい民主主義のしくみを提唱されている方もおられます。権力者への忖度と自らの権力獲得に執着し意思決定を行わない議員はAIにとって替わられても仕方が無いことだと小生も考えます。議員には、平和で安定した社会を実現するために意思決定して欲しいものです。AIは、その意思決定を助ける情報整理を行うことはあきらかであり、最も優秀な政策秘書となることでしょう。企業経営においても、株主、顧客、市場、従業員、社会の各ステークホルダーの思いを集約して経営者に伝える優秀な秘書になるでしょう。個人においても自分の好みに合わせて情報を集約してくれるアバター(ネットエージェント)が話題となっています。小生は、究極のAIの形は秘書としています。

 最後になりますが、将棋でお話をしましたように、特定の分野ではAIが人に変わって資料作成・製品製造・食物栽培・家事・育児・介護などを行うことも可能となります。但し、AIが設定された条件で事を為すためには、電気信号で動作しうることが必要ですので、電子音声やSDプリンターが開発されています。加えて、気象や形状などの詳細な情報を集めるセンサー技術も重要となります。人間の五感に変わって感じるセンサー技術と五感に伝える情報出力技術の両面で技術革新が継続してなされると思われます、

 意思決定こそがAIと人間を分かつことであり、AIを活用することで、その精度も上がると考えております。

以上

2023年4月16日 | カテゴリー : ICT | 投稿者 : csf-ishii