クラウドサービス導入の留意点2 営業雑感NO.189

 今回は、前回に引き続きクラウドサービスを導入する際の留意点についてお話しします。前回は、セキュリティ確保でしたので、今回は、本稼働後の運用体制の構築について纏めます。

2)運用体制の構築

 クラウドサービスにも従来のITシステムと同様に使用する際のユーザ責任の作業が、明確に存在します。ITシステムの運用については、各社ともにIT部門が存在し、その点を理解した上で、ベンダーと交渉し、WG(ワーキンググループ)などで、現場部門を巻き込み、その責を全うしておりました。ところが、クラウドサービスでは、現場部門が手軽に使える印象があるため、運用に入る前に準備すべき作業を充分に把握しないまま本稼働に入ることも多いようです。以下に掲げる項目は、クラウドサービスも含め、全てのITシステムを利用する上で必須となる管理事項ですので、契約前にベンダーと協議し、明確にしておくことが必要です。

・利用者管理

 クラウドサービスを利用する上で、最も重要な事項が利用者管理です。利用者にIDを付与する管理者を少数に絞って任命し、利用者名、ID,利用開始日、利用終了日、使用端末、使用権限などを台帳などで管理することが必要です。更に、入社や退職、人事異動などのタイミングで削除・追加・修正を行うことが必要です。特に、退職者の削除を忘れると、退職者が自由に使えることになり、セキュリティの上でも非常に危険です。又、協力会社やお客様など、社外利用者を登録する場合は、社員とは別に管理する必要があります。特に,社外利用者の場合、複数人が共通IDで利用する場合もあるので、その場合は、使用権限含めて注意が必要です。

・利用者権限管理

 殆どのクラウドサービスには、利用者毎に、修正可能、参照のみ、参照不可、などの権限設定が可能になっています。設定可能な範囲は、項目毎・ページ単位など様々です。又、利用者の職種によって、一律に権限を設定出来たりもします。利用者管理と連携しますので、これらの設定については、いくつかのパターンを決めておくことをお薦めします。尚、権限設定を決める責任者は、現場の管理職に決めていただくことが多いです。

・マスタ管理

 クラウドサービスにおいては、顧客や商品などのマスタの項目だけでなく、伝票フォーマットや画面フォーマットなど、様々なものを管理するようになっています。契約前に、ユーザで決めるべきこれらのマスタ類を把握しておくことが必要です。加えて、そのマスタ類を誰が管理するのかを決めておくことが重要です。こちらも、マスタの性質によって現場部門の管理職が管理することが多いです。

・既存システム連携管理

 既存の経理、販売管理、生産管理などとの連携を図る場合は、データ形式なでなく、連携のタイミングも決めておくことが必要です。リアルタイム連携を行う場合は、セキュリティ面での配慮が優先させると考えてください、つまり、前回、お話ししましたセキュリティが確保出来ない場合は、リアルタイム連携は諦めるべきです。又、マスタ類などを既存システムから移行する場合、原本を管理するシステムを決めて、追加・削除・修正の同期をとることは必須となります。

・事業継承管理

 いわゆるバックアップの管理です。バックアップについても、責任者を決めて、いつ、誰が、どのように(媒体利用、別クラウドへ保管など)行うかと決めておくことが必要です。その際、復元方法についても、バックアップ同様に決めておくことが必要ですが、こちらは、天災など、必ず管理者が行えるとは限りませんので、誰でも行えるように、きめ細かい手順書を用意しておく必要があります。

・啓蒙活動

 新規利用者への教育や、管理者への教育などを行うことが必要です。又、セキュリティ面からは、定期的に繰り返し行うことも必要です。カリキュラムとしては、操作教育・禁止事項・質問先・異常時の連絡先・セキュリティ教育などです。ビデオ オン デマンドを利用することも考慮しても良いでしょう。カリキュラム改訂などの関係から、啓蒙活動の責任者も決めておくことになります。

・運用管理会議体

 上記のように、管理者も複数になることが想定されますので、定期的に運用状況や、ベンダーへの要望事項などを情報共有することが必要です。その為に、会議体を設定しておくことをお薦めします。メールやLINE、チャット、グループウェアなどを活用しても構いませんが、インシデント(発生事象)毎に管理する仕組みも合わせて考えることが求められます。

 クラウドサービスを利用するにあたっては、上記のような管理事項を決める必要がありますので、単純な機能評価だけで導入することは避けるべきというのが持論です。

以上

2022年4月3日 | カテゴリー : ICT | 投稿者 : csf-ishii