前回、AIエンジンは専用品であり、汎用的なものでは無いという小生の見解をお話ししました。一方、AIを業務や製品に活用しようという動きも活発化しております。そこで、今回は、AIを活用するにあたって考慮すべき点について考えてみます。
先ずは、業務システムにおけるAI活用の目的を明確にしておきたいと思います。そもそも、ITは業務の自動化を最終目標としていましたし、今も変わっていません。AIも全く同じと考えています。加えて、現状のAIは、あくまでも業務をサポートするものであり、人に変わってなにかを行うロボットのようなものでは無いということです。勿論、将来は業務専用ロボットのようなものも出現するかもしれません。
以上を踏まえて業務システムにAI活用を考える際の手順を考えてみます。
第一 対象業務を選定する
現在自動化が行われている業務の延長や、これまでITを使った自動化を諦めていた業務に着目すべきだと思います。どの業務にAIを適用するのかを決めることが第一歩です。
第二 過去データの洗い出し
前回、AIを動かすには、言語・過去データ・結果表示の三点セットが必要になることをお話ししましたが。業務適用に向けて最も重要なことは、過去データの有無です。AIに必要な過去データとは、因果関係の判るデータを一緒に管理しますので、業務の入力情報と出力情報が一件ずつ積み重ねられてデータとなります。無論、それらのデータがデジタル情報となっていることが必須です。過去データの蓄積が無ければAIは動きません。
第三 AIエンジンの選定
エンジン選定においても、最も重要なことは、AIエンジンの取り扱える過去データの形式だと考えています。過去データの量がAI性能を左右します。洗い出した過去データを入力するのに最も適しているAIエンジンを選ぶべきでしょう。殊に、過去データが画像や音声しかない場合は、選定されるAIエンジンは限られると思います。仕様書や図面など紙で残された情報を活用する場合も同様です。尚、言語や結果表示についても選定要素となりますが、機械との連携など出力情報を自動で受け渡す必要のある場合などは結果表示機能に関係しますが、言語については、エンジン毎に学習するしかない為、選定要素にならないと愚考しております。
業務選定、過去データ整理、AIエンジン選定という流れで業務へのAI適用が検討されと考えますが、ITによる自動化検討との違いを最後に考えておきます。一番の違いは、AIは入力と主力の関係が1対1ではなくても良いということです。ITの場合は単純論理で決定されますので、入力と出力は常に1対1のユニークな関係でないものは、全てエラーとなります。ところが、現実には、基本は1対1の関係であっても、別の条件によっては、同じ入力情報で別の主力情報が導き出されることもあります。例えば、いつも現金で支払っていたお客様が、その時だけクレジットで支払うという場合、現金とクレジットでは、経理処理の仕訳が異なる為に、ITの場合は、通常は現金と決まっていても、クレジット払いになることを想定して、毎回、支払い方法を現金として入力するようにするか?通常は現金と決めておき、クレジットで支払う場合は、紙伝票などを含め、通常ITシステムとは別の方法で処理することなどが考えられます。ここにAIを導入した場合は、AIエンジンの構造にもよりますが、入金決済を行うロジックと支払い方法による決済方式の違いによる経理処理の違いを別ロジックとして決めておくことで、通常はなにも指示しなくても現金決済を行い、クレジットにする場合は、窓口運用と同じように、その時だけクレジットと指示をいれるだけで、システム処理がなされるようにすることが可能になります。出張経路を決める場合にも、工事中や欠航などの情報を都度入力することで、コスト優先や時間優先などの条件はいつもと変わらない条件で、その時の最善のルートを選定するようにすることが可能です。
AIには、1対nの論理関係のほかにも、並行処理機能や前処理と後処理の待ち合せ機能などの前後処理制御機能、更には、新たな結果を過去データとして登録しながら学習していく学習機能などがあります。
以上のように、業務システムにおいては、AI適用もある意味でIT活用の延長にあり、。業務ありきで検討すべきと愚考しております。
以上