販売業の今後 営業雑感No.135

 今回は、ネットワークと融合したITが一般化した社会での販売業を考える際の私見を纏めました。そもそもITはツールですので、実業をサポートする存在です。実業を理解する上で最も重要なことは、「どこで作られて、どこで売られるのか」を知ることだというのが持論です。ここ数回、様々な販売業を見てきましたが、基本は物流から押さえてきました。商品の動きと情報を限りなく一致させることこそがITの役割と考えています。

 ネットワークと融合したIT(以下、ネットITと略します)が、実業にもたらす変革は、1)生産と消費を直結。2)販売と物流の一体化。3)販売から貸出への決済方法の変革。の三点に要約されると愚考しております。

1)生産と消費を直結。

 ネットITにより収集される情報は、個人の集合体であるビッグデータになります。更にビッグデータを分析することも可能になります。生産者と消費者の中間に位置していた販売業者にとっての重要な役割の一つである消費動向分析、つまり商品に関するマーケティングを、生産者が直接行うことが可能になります。商品消費情報が生産者により一元管理されるようになったとしても、実際に販売業者を排除することは難しいと思います。最大の障壁となるのは、皮肉なことに生産者と緊密な販売チャネルです。家電販売や保険外交員で振り返りましたように、これまで生産者の売上を支えてきた強力な販売チャネルが販売コストとして跳ね返ってきます。生産者と消費者の中間に位置する販売業の改革、特にメーカ直結型販売チャネルがどうのように変革されるかが課題と考えます。尚、商品を実際に触ったり見たりして、消費者が品質を確かめられる新しい商店のしくみも生まれると考えます。

2)販売と物流の一体化。

 販売業における大きな付加価値である消費情報がネットITで肩代わりされますが、商品をお客様に届けるという物流の仕事は無くなりません。今も通販で見られるように物流と商品販売の一体化が進展すると思います。今は出前の発展形として登場したウーバーイーツですが、他の商品でも同様に個人が物流を担うようになる可能性も大きく、大規模資本による宅配業も大きくかわるかもしれません。又、商品受け渡し拠点としてコンビニや郵便局が今よりももっと活躍するようになるかもしれません。その際は、コンビニや郵便局の間を効率的につなぐ物流のしくみが構築されるでしょう。物流の業態については、画期的に多様化すると考えます。

3)販売から貸出への決済方法の変革。

 最後の変革が決裁方法の変化です。これまでの販売業は、この生産者への決済機能を付加価値ともしていました。端的に言えば、生産者は、手っ取り早く商品が現金化出来ますし、在庫を肩代わりしてもらうことも可能でした。しかしながら、直接販売を前提とした生産改革や物流改革がすすむことで決済に関するリスクが減少します。加えて、循環化社会実現の為には商品を長く使う為のメンテナンスも重要となることから、販売による利益獲得ではなく、貸出による継続的売上からの利益確保に変革することも必要となります。それに伴い、評価の為の無償貸出や、月額定額制の商品提供など様々なサービスメニューが登場すると思います。

 以上のように、ネットITの普及により流通業と呼ばれている業界は大きく変化していきます。勿論、生産者も大きく変わることになります。その為にも、商品がお客様に提供している付加価値を再度明確にして、お客様への最適な提供方法を考えることにより、生産、販売、物流を統合的に見据えてネットITの活用を考えることが必要だと考えます。

以上