業務システムとAI 営業雑感No.77

 今回から数回は、令和の主流になるであろうIT新技術と従来の業務システムの関係について私見を纏めることにします。第一回はAIです。

 以前の雑感でも述べましたが、現状のAIは、まだ発展途上であり、専用機の位置づけを脱していません。大きく二つの流れがあり、家電・車などに代表されるセンサーからのデータを判断して動作するものと、医療分野・ゲームなどの過去データを検証、学習して動作するものです。どちらも共通していえることは、ビッグデータとセットになってより効果的になるということです。

 では、業務システムについて考えてみましょう。業務システムは、市販のPKG(パッケージソフト)と個別の手組ソフトの二種に大別されます。

 PKGソフトのAI化については、開発ベンダー次第となります。その場合、ビッグデータを有するとの観点からはシェアの高いベンダーが有利になります。但し、業務システムのデータは顧客毎にそれぞれ独立して管理されていますので、先ずは、クラウド化してデータを汎用的に使える工夫を行うことが先決となるように感じています。更に、PKGの独壇場となっている経理・人事などの管理業務系や販売管理、生産管理などいずれも個人情報を含んでおりますので、匿名化は必須となります。このようにAI対応を行うには既存データをビッグデータ化することが必要なのですが、多くのPKGでは汎用機やクラサバ時代のプログラム構造を引きずっています。従って、AI対応の前に完全クラウド対応のプログラム構造に変化させることの方が優先されると思われます。クラウド対応については、後日の雑感でお話しします。以上からPKG利用の業務システムのAI対応については、一部の特定分野、曖昧データ入力や医療の画像診断に代表されるような判断支援に限定されると考えております。

 個別手組ソフトのAI化については、PKGとはやや事情が異なります。そもそもビッグデータなるものが存在しません。加えて、PKG同様に汎用機やクラサバ時代のプログラム構造を引きずっているうえに、当時の開発者が退職などをしてブラックボックス化していたり、追加開発の繰り返しでスパゲッティ状態になっていたりと、メンテも困難になっているソフトも少なくないのではないでしょうか?又、クラサバの進展により、エンドユーザコンピューティングの一環として、各現場でExcel・ACCESS・Filemakerなどで作成されたものが、一元管理されることなく日常的に業務に使用されているケースも多いと思われます。従って、これらのシステムのAI化を図る為には、原点に返って、業務を見直す必要があると考えます。そのステップは以下になります。

①業務付加価の明文化

 対象業務のお客様を明確にし、何を提供することが業務の主目的であるか?を明文化します。明文化といっても堅苦しいものではなく、業務付加価値が集約されている帳票を選定し、その帳票の作成手順や利用ポイント、配布先、バックアップ基準などを明文化することです。この帳票は、システム出力帳票だけでなく、Excelなどの現場作成帳票も対象にしてください。流石に、手書帳票は少なくなっていますが、手書帳票に業務付加価値が集約されていることもありますので手書帳票も対象となります。

②標準化の推進

 手組システムの場合、往々にして個別要求に対してきめ細かく対応しているものが多く、システム化の際の業務標準化に逆行しているものもあります。よくある例でいいますと、特定の客先や部署からの指定フォーマットへの対応や、例外処理のシステムへの取込などです。お客様指定など避けて通れないものもありますが、基本は標準を定めてのちに、標準から派生させるべきです。又、例外処理については、発生頻度との関係で見直すべきですし、例外について、いくつかのパターンに分類整理することも必要です。この分類整理にはモジュール化の考え方が有効です。これらの標準化が①項で選定された帳票の作成のQCDに貢献することになります。逆に、標準化と帳票が関係ないようでしたら①項に戻って業務付加価値を見直して下さい。

③AI導入目的の明確化

 現在のAIの機能ですと導入目的としては、以下の二つに大別されます。ノウハウ継承、人財早期育成などのノウハウ集約型と、納期短縮やミス撲滅などの業務効率化型です。AIはITシステムとは異なりプログラムを作成したら完成ではなく、その後もたゆまず学習させていくことが必要です。その為の教師を任命する為にも、何を目的とするかを明確にしておく必要があります。但し「二兎を追うもの一兎も得ず」ですから、先ずは目的を一つに絞るべきと考えます。

 以上のように、業務システムへのAI適用においては、単純なシステム選定ではなくベンダーの将来構想の把握や業務付加価値の見直しが必須と考えます。

以上

2020年1月13日 | カテゴリー : ICT | 投稿者 : csf-ishii