ウクライナ史 営業雑感NO.337

 今回は、トランプ氏の掲げるウクライナ戦闘終結提案を考える上で、その背景にある、ウクライナとロシアの関係について歴史を振り返ってみます。

 先ず、現在の紛争について、少し、時系列に考えてみます。トランプ氏が「オバマとバイデンが始めた戦争」「本当は米ロ戦争」などと話しております。その背景は、親ロシア派のウクライナ前大統領が親欧米派と親ロシア派の国内紛争激化によりロシアに逃亡し、その後の大統領選挙でゼレンスキー氏が当選するのですが、この混乱に米国の関与があったと思っているようです。加えて、ロシア国民にウクライナ紛争を支持する層が一定数存在することから、ロシア国民はウクライナを同盟国と考えているのでは?と思っています。この論理を少しSF的に拡大して我が国に当てはめると、沖縄県に琉球国復活の機運が生じ新しい琉球一派が形成される。この一派の著名人が知事選で中国の応援を受けて当選し独立宣言をする。日本は独立を認めず日本復帰を願う与論島を占領し、中国の反応がないと見ると一気に沖縄本島に攻め入ったが、中国の支援を受けた琉球一派に反撃を受けて戦闘が膠着する。という荒唐無稽な話になります。トランプ氏は間違いなくこの物語のようにウクライナ紛争を考えていると思われます。

 しかしながら、歴史を振り返ると、もっと根の深い民族事情があることがわかりました。端的にいうとウクライナは、中世以降、常に、戦争の地となり、征服者がめまぐるしく変わっていたということです。欧州で最も古い石器時代の遺跡はウクライナにあり、欧州の入口的な位置にあったことが判ります。ギリシャ・ローマ時代にはスキタイ人が農耕している豊か土地として書かれます。中世にはキエフ公国として欧州の半分位をその勢力下に起いた国が登場します。そして多民族が征服し合う欧州の地にあってスラブ族を形成します。ロシアもスラブ族ですので、民族的にはロシアとウクライナは同族です。ところが、キエフ公国はモンゴルに滅ぼされます。その後、しばらくは、モンゴルの欧州拠点として支配されましたが、ローマ教皇や欧州各国の支援をうけて反モンゴルの拠点となります。その後、モンゴルの衰退に伴い、勢力を拡大したポーランドやリトアニアに分割統治をされます。

 近世に入り、同族のロシア帝国との争いが続きます。ロシア陸軍として有名なコサック兵はウクライナ兵のことですが、それはエカテリーナが率いたロシア帝国に完全にウクライナが併合されてからのことで、それまではロシアへの反乱と弾圧の繰り返しでした。音楽で有名なステンカラージンは、コサックとしてロシアへ反乱をした英雄です。エカテリーナ以降に反ロシア戦となったクリミヤ戦争もウクライナが主要な舞台です。ロシア帝国に反乱を起したソ連とは当初は帝国打倒で連携をとり、独立しますがナチスドイツが流れ込み支配されます。第二次大戦後はソ連邦に組み込まれます。ソ連崩壊に際しては、独立宣言を行ない現在のウクライナ共和国が成立しています。ウクライナでは、コサックに代表されるように自由と独立を求める機運が盛んですが、エカテリーナ以降のロシア化政策により、親ロシア派も一定数存在し、共和国成立後の大統領は親ロシアと親欧米派がその職務を交互に担っています。共和国成立時にはNATO加盟が承認されていましたが、親ロシア派が凍結し内乱が発生しますが、内乱制圧後に新ロシア政権が誕生し、又、反乱が起こるという交代劇を繰り返しています。

 上記のようにロシアとウクライナの関係は、トランプ氏が考えるような単純なものではなく根深いものがありました。プーチン氏のロシア第一政策においては、ウクライナはベラルーシと同様にNATOとの緩衝地帯として、どうしてもロシアに必要な地域です。プーチン氏の地政学的領土支配構想の結果として生まれたのがウクライナ紛争であるというのが、歴史を振り返っての小生の結論です。トランプ氏がプーチン氏の米国・欧州分離の離間の計にはまらないことを願うばかりです。

以上

2025年3月16日 | カテゴリー : 閑話休題 | 投稿者 : csf-ishii