前回、今後の方向性として、システムの繋ぎの部分である各種インターフェースの標準化が進むとお話をしましたので、今回は、IT技術革新の方向性について、お話をします。以前にもお話をしたことがありますが、IT技術革新は「集中」と「分散」を交互に繰り返して進展してきました。
ITの核であるコンピュータは、制御機能・演算機能・記憶機能・入出力機能の四機能を必ず有しています。当初は、これらの機能は、別筐体の大きなハードウェアで、制御機能と演算機能と一時記憶機能(メモリ)の三つを担当していたのがコンピュータ本体である中央処理装置です。ディスクやフロッピーなどの外部記憶装置、プリンターやデータライター、ディスプレイなどの入出力装置などがありました。但し、これらの装置は、中央処理装置に帰属していたため、中央処理装置を開発したコンピュータメーカが、それぞれの外部記憶装置、入出力装置を開発していました。その為、日本語プリンターなど入出力装置の機能差もメーカ選定における差別化要素になっていました。その後、半導体技術の発展で中央処理装置の中核機能を1チップに集約したものがCPUと呼ばれる半導体です。この時代は、CPUの速さを競う「集中」の時代でした。
「分散」の技術革新をもたらしたものが、ネットワークです。当初は、ネットワークも入出力機能の一つであり、他の装置と同様にコンピュータメーカに帰属していましたから、メーカの異なる装置間の通信は、大変、手間のかかるものでした。この流れを一気に変えたのがインターネットです。IOTといわれるようにインターネットに接続できない装置はIT装置ではない時代が到来し、あらゆる機器にCPUが搭載されて、CPU競争の時代は一段落しました。更には、ハードディスクやプリンターなどは専用メーカが開発しており、ユーザはパソコンメーカに依存することなく自由に選択できますが、今の環境が整ったのは最近10年くらいです。ネットワーク時代の技術革新は、単一メーカのCPUの速さを競う技術よりも、ネットワークを介して複数の安価なCPUが協調して処理を行う分散技術が開発されました。複数のCPUを使って計算する並列処理も開発されました。
ところが、ネットワークを介して集められた膨大な情報がビッグデータとして注目されるようになった現在では、スーパーコンピュータの演算速度が競われるように「集中」の兆しが見えてきました。勿論、昔の「集中」ではなく「分散」の上に立つ演算機能や制御機能の高速化を図るものです。ビッグデータ解析を目論む集中の時代の到来です。AIもこの技術の上で開発されるものです。このCPUの高速化の技術は、ネットワークの高速化、大容量化を促しますので、新しい「分散」に向けた技術革新を進展させると愚考しています。
新しい「分散」の時代は、入出力機能が大きく変化すると予測しています。入出力専門メーカが数多くうまれ、アップルウオッチやVRスコープなどの身につけて情報操作をすることが可能なウェアブル端末、今でも実現しているスピーカなどの音声指示装置、加えて、顔認証に代表される画像認識機能も大きく進展すると思われます。ドローン映像の解析などにも活用されるでしょうし、車などの自動運転にも寄与する筈です。職人技の継承にも画像認識と三次元映像の組み合わせで手助けが出来る筈です。勿論、ビッグデータを解析するAI技術もこれらを支えます。これらの装置に組み込まれるのは、今よりも数段上の演算機能をもったスパコンで開発された技術を集約した高速CPUです。更に、ネットワーク上で集約されたビッグデータだけでなく、これらの装置に帰属するローカルな個別情報を集約する大容量の記憶装置も付属されるとみています。「分散」と「集中」の繰り返しは、データの所在にも影響されていると考えています。
更にその先のことは、予測がつきませんが、より高速化されたネットワークとIOTが当たり前になった社会を支える次世代集中の時代がくるような気がします。但し、「集中」と「分散」の技術革新の交代の周期も、どんどん短くなっています。一世代前の技術と共存することになると思われます。しかしながら、「集中」と「分散」の技術革新の繰り返しを意識することで、IT分野の新技術の方向姓を見極める助けになると愚考しています。
以上