電算室  営業雑感NO.167

 今回は、一般的に「電算室」と呼ばれて登場した企業における情報管理部門の役割と組織の変遷を振り返りながら、今後のICT組織の在り方について考えてみます。

 1970年(昭和45年)代にコンピュータ(電子計算機)が企業に広く普及し始めます。当時は、コンピュータを担当する部署も無かったので、総務部門や経理部門の中に電算担当が任命されていましたが、情報システムの拡大に伴い、独立した組織として「電算室」と呼ばれることが多くなりました。当時の電算室の役割の大半はデータインプットで、タイプライター型鍵盤のついた入力装置で紙テープや80欄(96欄)カードという専用カード用紙に情報を穿孔しておりました。コンピュータへの情報入力はプログラムも含め紙媒体を読取装置から読み込んで計算結果をラインプリンタという出力装置で専用用紙に出していました。その後、媒体が紙からフロッピーに換わりました。これに伴い、フロッピー入力装置間でテレックスのようにデータ通信を行うようになり、これがオンラインの走りだと思います。いずれにしましても、当時の電算室の役割は、データ入力とそのデータを順序よくコンピュータに読ませて結果を出すことがメインでした。一部の大手企業ではプログラム作成も重要な仕事でしたが、プログラマーが不足しており、メーカに委託開発をお願いするケースが大半でした。尚、当時はSEとプログラマーは一体で職種として分かれるのは後のことです。その意味では開発者は、今のゲーム開発やWebアプリ開発と同じ状況で個人のスキルに依存していました。

 その後、コンピュータが今のようにディスプレイ端末から画面入力が出来るようになり、計算結果が直ぐに画面で確認出来るリアルタイム処理も充実してきます。ネットワークを介したオンラインも普及しました。この頃(昭和50年代)には、企業における情報システム活用は全ての業務に関わるようになり、「電算室」は「情報システム部」へと名称が変わり、組織も大きくなりました。その役割もデータ入力作業は殆ど無くなり、システム開発と運用管理にシフトしていきます。システム規模が大きくなるにつれて、システム設計を担当するSEとプログラムを作成するプログラマーに職種も分かれていきました。

 平成に入り、パソコンが普及しシステム形態がコンピュータからクライアントサーバ方式(クラサバ)に移行していく中で「情報システム部」は衰退の道を辿り始めます。その背景としては、企業会計や販売管理、生産管理などの期間業務をサポートする汎用パッケージが普及しホストコンピュータでのシステム開発業務が激減したことと、手軽に誰でもパソコンを使えるようになりEXCELなどの表計算ソフトやACCESSなどの簡易言語でソフト開発が行えるようになったことからエンドユーザコンピューティングという発想から現場の業務担当者で現場毎のきめ細かいシステム開発を行うようになり、情報システム部は、旧来のコンピュータのお守りだけを行うようになっていきました。汎用機でのスキルが一気に陳腐化したことも従来型システム要員にダメージを与えました。一方で、第四の経営資源として企業の扱う情報を一元管理する必要性からCIO(chief information officer 最高情報責任者)の設置を求められるようになりました。

 平成10年以降はインターネットの普及によりITの技術動向が大きく変化します。それまで全盛だったクラサバシステムをまだ使っているユーザの多いと思いますが、クラサバ構築技術は既に陳腐化しています。ITは、汎用コンピュータ、クラサバ、インターネットとわずか数十年の間に三段階の変化を遂げました。しかも、それぞれ全く別の技術基盤から生まれていますので、スキル継承が出来ない仕組みになっています。クラウドコンピューティングやビッグデータ、AI活用などインターネットを中心としたIOT(Internet of Things インターネットに繋がることであらゆる機器が情報機器に変容する)時代の到来です。これからの情報システム担当の役割の中心は、業務変革にあると考えています。IOTを活用することで「窓口レス」のように、これまでの業務の流れ、形態を変容させることが可能になります。その為には、現状業務を客観的に見直すことが必要です。この役割を担うことになると思います。もう一つの重要な役割が情報セキュリティ管理です。社員への啓蒙活動、システム及びネットワークの監視、資源管理など広汎な作業が控えています。加えて、これらの業務は企業として一元管理することが必須です。この実現の為には、企業全体を情報セキュリティと業務変革で俯瞰することの出来る仕組みが必要です。小生としては、かつてのCIOのような全社責任者の下に、現場リーダが参集するマトリックス型組織になると愚考しております。

以上

2021年10月24日 | カテゴリー : ICT | 投稿者 : csf-ishii